口の中に住むバクテリアたち Fall 2001 - 1


私たちは実際バクテリアと共存していて、バクテリアは良いこと悪いこと、体の中で両方している事をご存知かと思います。口の中に住んでいるバクテリアの種類は700まであり、この中でも虫歯の原因となるバクテリアが色々いて、また歯槽膿漏の原因となるバクテリアが色々います。

虫歯というのは簡単に言えば口の中に住んでいるバクテリアが糖分を分解し、栄養をとり、そしてその時に酸をつくり、その酸がだんだん歯を溶かしてしまい出来ると考えられています。糖分は色々な食べ物に入っているので甘い物だけが虫歯につながる訳ではないのですが、確かに甘い物は簡単にバクテリアが酸を生み出すものと言えます。

歯槽膿漏はバクテリアが歯と歯茎の間に住みこんでしまい、だんだん歯茎、また骨までも侵してしまい、放っておけば歯をなくしてしまうというものです。

皆さんも近くにこういう人がいるかもしれませんが、全然歯を磨かないのに虫歯になった事がないという方にたまに会います。とてもラッキーな人達でこれには一つ大きな理由があります。口の中に虫歯の原因となるバイ菌が住んでいない人がいるのです。口の中にいるバイ菌の種類はその人その人によって違っていて、どの種類がどれ位いるのかも皆それぞれの人によって違います。赤ちゃんは生まれた時には口の中にバイ菌はいないのですが、通常お母さん、または一番赤ちゃんの世話をしている人から口の中にバイ菌が移ると考えられています。一度住みつくと口の中での違う種類のバクテリア達の割合は大体一生一定すると言われています。従って、バクテリアに関しては、赤ちゃんの時に運の良い人であれば虫歯になり難く、逆に運の悪い人であれば虫歯になり易くなると言う事になります。ただ、絶対変わらないのではなく、高校生、大学生のあたりに急に虫歯の数が増える場合というのがあり、これは急な食生活の変化と共に虫歯の元になるバイ菌が他人から移りうるものだからとも考えられています。

ここで虫歯になった事がないと言う方には気をつけて頂きたい事があります。虫歯と歯槽膿漏は違うバイ菌から起こるものなので、“私は虫歯菌がないから歯の手入れをしないでいいんだ”と油断していると、ある日歯槽膿漏で歯を失くしてしまうという危険があります。歯槽膿漏は歯を支えている歯茎と骨をだめにしてしまうものなので、放っておけば必ず歯を失くしてしまいます。

ともあれ今この口の中のバクテリアをどうにか出来ないのかという研究は色々されています。ある研究では虫歯の最も原因になると考えられているストレップ‧ミュータンス菌の遺伝子を変え、菌が酸をつくれないようにするという事が成功しています。しかし、今の所実験段階で人間の口の中でどうなるかは判っていません。また虫歯や歯槽膿漏のバイ菌のワクチンも考えられているのですが、今の所研究段階でしかありません。もう少しのようでまだ道程は遠いという所です。

しかし諦めないで下さい。食生活は良いか、手入れはどれだけ良いか、また歯や歯茎の質がどれだけ良いかという事も虫歯や歯槽膿漏になるかならないかを決める要素であり、当たり前のようですが食生活と手入れが良ければ良いほど問題は起こり難くなります。

バクテリアはどんどん繁殖し歯の表面にいつもくっ付いていくので、毎日の歯磨き、フロス、また歯医者さんでの定期的なチェックアップとクリーニングは欠かさないで下さい。

歯垢の中はバイ菌だらけ
歯についている歯垢(Plague)にはバイ菌がうようよといます。歯垢1㎜³の中に20億から30億いるとされています。そしてこの歯垢は絶えず増えていきます。ですから、毎日の歯磨き、フロスはとても大事な事ですのでよく歯の手入れをして下さい。

 

 

 

 

 
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