歯周病の恐怖 Summer 2003 - 3


困った事に歯周病にかかっている方は、そうでない方に比べ心臓疾患や脳卒中になる可能性が高いという調査結果がいくつか出されています。
歯周病にかかっていると歯茎は慢性的に炎症を起こしています。そして、歯周病に限らず、体のどこかが炎症を起こしていると体はC-RP(C-Reactive Protein)というものをつくるのですが、このCRPにはもし血管の壁に血栓(血液の固まり)が付着しているとそれを取り除こうとする役目があります。体の状態が悪く血管に血栓が付着しているとCRPはそれを取り除こうとするのですが、実際は血栓を血管の壁から外し血液の流れにより体内に循環させてしまうということを起こします。もしこの血栓が脳にいってそこの血管に詰まってしまえば脳卒中、また心臓にいって詰まってしまえば心臓疾患ということになります。ですから歯周病は直接ではないのですが、心臓疾患や脳卒中になる可能性を高くするといえます。

実際はまだまだ研究が必要なので歯周病と色々な体の病は関係している可能性があるとだけしか言えないのですが、もしかすると歯槽膿漏は口の中の問題だけではおさまらないかもしれないのです。口の中だけでも歯槽膿漏は歯と歯茎の間、また歯と骨が着いている部分を侵し、歯をなくしてしまう一番の原因です。大部分の歯周病は非常に悪化しないと痛みがないものでもあります。少しずつ歯茎と骨をおかしていき、定期的にチェックをしていないと気が付いた時には手遅れになっている場合がよくあります。50才~60才あたりであまりにも歯茎と歯垢骨がやられてしまっていて、口の中の健康の為には歯を抜くしか治療方法がないケースを必要以上に見ます。ですから歯茎は歯の為、また体の為にとても大事にしてください。

歯周病の予防と治療

では、歯槽膿漏を防ぐにはどうすればいいか?これはもう口の中を出来るだけきれいにしておくという事です。歯周病は歯と歯茎の間にバクテリアが入っていって起こるもので、しかもバクテリアは口の中に棲んでいつも増えていこうとするのです。依って、毎日の歯磨きとフロスでいつもいつも増えていくバクテリアを出来るだけ取り除いて下さい。また定期的な歯医者さんでのクリーニングは歯周病予防のためにもとてもお勧めです。歯医者さんでは歯、歯と歯茎の間、また普段の歯磨きやフロスだけでは届きにくい所をみな掃除できます。もし長い間歯医者さんに行っておられない方であれば、検診チェックアップは特にお勧めです。良い殺菌用の口をゆすぐ薬も必要に応じてお勧めしています。しかしそれとともにまたそれ以上に大事なのが口の中をきれいにしておく事なのです。 普通健康な方でも6ヶ月に一度は歯医者さんでの歯茎のクリーニングはお勧めです。もし歯茎の状態が弱まっている方、またすぐに歯石がたまってしまう方であれば、もっと頻繁に歯医者さんでのクリーニングをする事をお勧めです。2ヶ月、3ヶ月、または4ヶ月に一度と個々の患者さんにあった期間でして下さい。

歯と歯茎のクリーニングも歯槽膿漏である程度悪化している場合、一回で口全体ではなく2回、3回でしかも麻酔をしてでないと出来ません。実際歯周病の治療でまず必要なのが掃除なのです。そしてもしあまりにもひどい場合は歯茎の専門医に行って頂き今度は歯茎を切る治療をしないといけなくなります。最悪の場合、歯は自然に抜けてしまいます。しかも一度歯槽膿漏で歯垢骨をなくしてしまうと、今は少し足せるのですが、完全に骨を健康な元の位置に戻す事は不可能です。ですから予防ともし歯周病であれば、早期治療を強くお勧めいたします。

 

 

 

 

 
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