くさび状欠損 March 2008


3月17日はセントパトリックスデイでアイルランドの祝祭日です。この日にはアイルランドのシンボルカラーの緑色のものを皆が身につける風習があります。アメリカプロ野球のいくつかのチームの全員が特別に緑の野球帽をかぶって試合をしたりパレードがあったりまたパブで緑色のビールがでたりとアメリカでも盛大に祝われています。当然アイルランドの国花のシャムロック(三つ葉のクローバー)またアイルランドの伝承に登場する小人の妖精のレプラコーン(Leprechaun)のイメージも多分に見かける日でもあります。レプラコーンはたくさん金の入ったポットを隠し持っていてしかも悪知恵が働く妖精なので人間が捕まえて金のありかを聞き出そうとすると逆にいたずらをされてしまうと伝えられています。そこで今回はこの伝承にちなみ自然界のいたずらではないかとも言える歯によく起こる現象のひとつの“くさび状欠損”というものについて書かせていただきます。

“くさび状欠損”というのは歯と歯茎の境目に歯茎にそって歯自身に出来てしまう溝の事です。だいたいは歯の頬側に面した表面に出来るのですが歯の裏側にも出来ます。冷たい水が沁みる、また歯ブラシがあたると痛いという症状がでます。この溝は穴になっているので虫歯にもなりうるのですが虫歯ではなく、特徴としてきれいにそこに溝を彫った様に見えます。割とよく起こるのでみなさんの中にも鏡で見てまた爪で触ってみてきれいに溝になっている現象を体験している方がいるかもしれません。小さいうちは問題がないのですが放っておくとじょじょに大きくなってしまうのである程度の大きさになってしまった時には詰め物で治して補強してあげる必要がでてきます。

それではなぜこの溝は出来るのでしょうか?実際はいろいろな理由が重なって起こるのですが一番大きな理由は噛む時の歯にかかるストレスだと考えられています。噛む時に歯には大きな力が加わるのですがこの時歯は少し屈折し一番ゆがむ所が歯と歯茎の境目なのです。また歯茎の上に見えている歯はエナメル質というとてもかたいもので覆われているのですが歯茎の中にある歯根はセメント質というもっと軟らかいもので覆われています。そしてこの2つの層の境目あたりでエナメル質は薄くなっています。よってこの歯の弱い部分に何年間も噛む力でストレスが加わりじょじょにこの場所がくずれていってしまうのです。ですから歯ぎしりをする、また歯をくいしばる癖がある方にはこの現象は特に起こりやすいと言えます。

では噛んでいる事で起こるものであると防ぎようが無いのではないかと思われるかもしれません。確かに歯の噛み合わせが悪い方であれば歯を少し削ったりまた矯正をしたりしてかみ合わせを良くする事は出来ます。しかし前にも述べましたが単に噛む力だけが原因では無いのです。食生活の上で酸性のものをたくさんとっていればそれだけこの溝は悪化します。また歯茎が後退してしまえば歯根の軟らかい所が出てきてしまうのでもっと溝が早く大きくなります。そして歯磨きの仕方がとても関係してきます。歯ブラシで歯と歯茎を削ってしまう事がありうるからです。よって歯を磨く際必ずソフトな歯ブラシを使って下さい。そして歯の側面は歯ブラシを水平に横に動かして磨かない様にして下さい。またもし電動の歯ブラシを使っているのであれば電動歯ブラシにまかせて自分では歯ブラシをごしごしとたくさん動かさないで下さい。

“くさび状欠損”はある程度は防ぎようが無いのですが悪化させない様に食生活に気をつけまた歯ブラシの仕方にも気をつけて下さい。良い歯の磨き方を知りたい方、またこの“くさび状欠損”の問題がある方などもご連絡頂ければお助けします。

 

 

 

 

 
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