糖尿病と歯槽膿漏 October 2008


洗練され加工された食物の多い先進国では年々糖尿病を持っている人の数が増えています。アメリカはそうですし日本もそうです。しかも、糖尿病は歯槽膿漏を悪化させ、また、歯茎を歯槽膿漏になりやすくします。困った事に歯槽膿漏は糖尿病を悪化させる可能性があります。そこで今回は糖尿病について、そして糖尿病と歯槽膿漏の関係について書かせていただきます。 

糖尿病は血糖値が病的に高まりそのためにいろいろな問題をひきおこす危険性のある病気です。これは血液中の糖分の量を体がおさえられなくなっておこり、よって尿中にも糖分が多いため糖尿病と言われます。糖尿病と言うとインスリンという言葉がよく出てきます。すい臓から分泌されるホルモンのインスリンは糖分を細胞がエネルギーとして取り込む事を助けるもので、血糖値のバランスを保つ役割を持っています。良く言われる“1型糖尿病”はこのインスリンを分泌するすい臓がだめになってしまう病気です。インスリンが無くなってしまうので常にインスリンの注射をしなければいけません。そして“2型糖尿病”は生活習慣病の一つで糖分の取りすぎや運動不足などが理由でインスリン分泌低下またインスリン感受性低下がおきてしまう病気です。糖尿病の9割は2型糖尿病でもあります。遺伝も関係していて2型糖尿病になりやすい方が悪い生活習慣をとることによって起こると考えられています。

しかし血糖値が高い場合、短期的には特にこれといった症状は出てきません。よって1型の様にインスリンが無くなってしまう場合と違い2型糖尿病はなってしまっても長い間何も自覚症状が無い事が多いのです。しかし長い間ダメージが続き、発症する時には心筋梗塞や腎不全などの大きな問題となって起こります。

ではなぜ糖尿病は歯槽膿漏を悪化させるのでしょうか? 簡単に言うと糖分が血液中に多すぎると体の至る所が炎症を起こしやすくなりまた炎症が起こるとそれを助長させてしまうからです。歯槽膿漏は歯と歯茎の間にバイキンが入ってしまい歯茎を侵してしまうもので、歯槽膿漏も糖尿病の様に長い間あまり自覚症状が無く、痛みや腫れが来た時にはもう手遅れで歯を失くしてしまうというやっかいな病気です。歯槽膿漏のダメージはそのままにしておくと長い間炎症が続いて起こるものでもあります。そして糖尿病を持っていて血糖値が高いと簡単に歯茎は炎症してしまい、また簡単に炎症が悪化してしまうのです。くわしくは血糖値が高いと白血球の機能の低下やマクロファージの増加が起こるなどと言えます。

また歯槽膿漏になっているとバイキンに対抗しようと歯茎の炎症が続いてしまい、その際に体が作る炎症物質の一部はインスリンの働きを妨げる事が解っています。つまり歯槽膿漏自身が血糖値を上げる事を助けてしまうのです。

ですから、みなさん糖尿病にならない様に食生活に気をつけてください。適度な運動もお勧めです。よく言われるメタボリックシンドローム(メタボ)も肥満だけの事を示しているのでは無く、生活習慣病の複数の異常が重なっている状態を表していて、糖尿病もその中の大きな一部です。

歯茎のためには歯槽膿漏にならない様に毎日2回は歯を磨き、1回はフロスをして下さい。また歯医者さんでの定期的なチェックとクリーニングも本当にお勧めです。

糖分を取り過ぎない様にと考えると、やはりこのハロウィーンでもらえるたくさんのキャンディーもお子さんも大人の方も食べ過ぎないで下さい。

 

 

 

 

 
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