マウスリンス（洗口剤） May 2009

液状の口をゆすぐためのマウスリンスには４つの効用があります。それは殺菌、口臭阻止、虫歯予防、歯槽膿漏予防です。そしてこの中の最後の３つはバイキンが素になるので殺菌作用は全体につながります。また、マウスリンスには液体なので口内にいきわたらせる事が出来るという利点があります。

しかし、マウスリンスはあくまでも歯磨きとフロスにたして補助するものでマウスリンスのみに頼ってはいけません。前のニュースレターでも書きましたが、バイキンは粘着力のあるものを作り、そして何万という数のバイキンが歯に付着していくものです。ですから、バイキンはたくさん重なってしかも多種類のバイキンたちが歯の表面にこの粘着力のあるバイオフィルムの中で暮らしバイキンの大都市を築いているといえます。そして、このバイオフィルムはマウスリンスに入っている殺菌剤からバイキンを守る役目をしています。しかも、殺菌剤がバイオフィルムの中にある程度浸透出来たとしてもバイキンは重なって歯に付いているので中の方のバイキンには届きません。よってマウスリンスを使う前に良く歯を磨きフロスをし、機械的にバイキンとバイオフィルム（歯垢）を取り除く必要性があります。つまりバイキンの大都市をまず壊し、そこにリンスを使うことで効果を出すのです。ですから、１日２回は朝晩に歯を磨き、その後にマウスリンスで３０秒ぐらい口をゆすぐ事をして下さい。歯を磨く代わりにマウスリンスで口を濯ぐという事は何もしないよりはましですがあまり効果は無いと考えてください。例外としてちょっと前までは歯を磨く前に歯垢をやわらかくするために使うマウスリンスがありましたし、また今現在はお子さんが歯を磨く前にリンスで歯をわざわざ青くしてこの色を取り除く事が歯を良く磨く事になるというものもあります。しかし、基本としてマウスリンスは歯を磨いた後に使う補助の役目のものです。

このマウスリンスにはいろいろな種類があります。まず殺菌作用が一番良いとされている処方のみで求めることのできるマウスリンスがあります。薬名をクロロヘキシジンといい、とても効果があるのですが使用際に味覚が変わってしまう事や良く歯を磨いていないと歯に茶色くステインを付けてしまう事があるので通常は歯槽膿漏でずいぶん歯茎が衰えている場合に処方します。虫歯予防のためにフッ素が入っているリンスもあります。また口臭阻止のための各種の薬が入っているものがあります。口臭はバイキンが食べかす等といっしょに異臭のするVolatile Sulfer Complexというものを作ってそれが臭う事が大部分ですのでこの物質を分解する薬が入っているマウスリンスがあります。そして殺菌作用のある各種の薬やハーブが入っているリンスがあります。処方するクロロヘキシジンリンス以外はいくつかの薬を混ぜてあるものも多く、つまりいろいろなマウスリンスがあります。ではどのマウスリンスを使うべきなのかと思われるかも知れませんが、リンスはあくまでも歯磨き後の補助に使うものでその種類やブランドにこだわるよりも本当の基礎の歯磨きとフロスをすることのほうが大事ではあります。しかも口内のバイキンの種類はたくさんあり、皆の口内は同じではないので、一括としてこのリンスが誰にもベストとは言えません。

また、もう一つ述べておく必要があり、それはマウスリンスにはアルコールが入っているものと入っていないものがあるという事です。アルコールのエタノールで、それ自身に殺菌作用があるという事と殺菌薬の中にはアルコールには溶けるが水には溶けないものがあるのでその薬を配合するために使われています。しかしアルコール入りのリンスにはアルコールの量がとても多いので歯茎を刺激しすぎて歯茎に良くないのではないか、またアルコールが口内を乾燥させてしまって逆にバイキンに良い環境にしてしまうのではないかという疑問があります。アルコールの入っていないリンスはこの疑問に応じて出来たもので、今現在殺菌効果はどちらも同じにあると考えられています。また、マウスリンスは飲むためのものではないのですが特にアルコール入りリンスは子供が飲まない用に気をつけないといけません。前に述べました疑問はアルコールにはあるのですが今の所アルコールが入っているリンスは大丈夫とされています。

マウスリンスはいろいろあり、これが皆にベストとは言えないのですが、私自身が使っていて推薦しているリンスはあります。CloSYSというリンスは殺菌作用があり、口臭阻止になり、またアルコールも入っていないとてもシンプルなリンスなので私はこれを使っています。このリンスは当医院に在庫がありますし、また特定な薬局でも市販されているので使っている、また使ってみたいという方は私共にお電話されても良いですしご自分で探して求めても良いと思います。しかし、ずっと述べていますが、マウスリンスは毎日の歯磨きとフロスの後に補助として使うものですのでマウスリンスだけに頼らないで下さい。