リン酸カルシウム November 2010


みなさんもご存じのとおり虫歯予防の基礎は毎日の歯磨きとフロスそして良い食生活です。しかし、それに加えて出来る事はいろいろあります。今回はその中の一つのリン酸カルシウムの使用について書かせていただきます。何なんだそれはと思われるかもしれませんが、歯が何で出来ていて、どのように虫歯になってしまうかを考えるとリン酸カルシウムの効果がわかります。

まず、歯の外側にあるエナメル質の96%そしてその中にある象牙質の70%はハイドロキシアパタイトという成分で出来ています。ちなみに骨の70%もです。そして、ハイドロキシアパタイトは簡単に言うとリン酸カルシウムと水素と酸素で出来ています。従って、酸が歯を溶かす時に溶け出すものは主にリン酸イオン、カルシウムイオン、水酸化物イオンという事になります。歯の表面では食事の際、虫歯菌が酸を作るとその酸が歯を溶かし“脱灰”という事をし、口内が中性に戻るとこの溶け出した成分がまた歯に付着し“再石灰化”という事をしています。口内が酸性になって中性に戻るたびにとても微量に歯が溶けてまた固まるという事が起こっているのですが、その中で脱灰の量が再石灰の量よりも多いと歯が溶けたままになってしまい、それが重なってしまうと虫歯になってしまうわけです。という事は、この歯から溶けてまた歯に戻る主な成分のカルシウムイオンとリン酸イオンを脱灰と再石灰の際に歯の表面にたくさんある状態にしてあげれば、歯は溶けにくくなり、また再石灰化も簡単に出来るという事になります。つまり虫歯の予防になります。ちなみになぜフッ素が虫歯予防に使われているかというと、フッ素イオンはハイドロキシアパタイト内の水酸化物イオンと入れ替わる事が出来、その際フロロアパタイトという物になり、このフロロアパタイトはハイドロキシアパタイトよりも硬く、つまり前よりも酸によって溶けにくくなるからなのです。
この中で、カルシウムイオンとリン酸イオンを歯の表面に紹介する方法が近年発明され、いくつかあります。

ひとつはリカルデントと言う名の成分を使う事です。リカルデントとは“乳タンパク質分解物(CPP)”という物に“非結晶性リン酸カルシウム(ACP)”という物を繋げてある物です。牛乳を素に作られた成分で、この“CPP”は歯垢と歯に良く付着する性質を持っています。そして“非結晶性リン酸カルシウム(Amorphous Calcium Phosphate)”は何かというと通常リン酸カルシウムは結晶体として固まっているのですが、非結晶化する事が可能になったためつまりリン酸イオンとカルシウムイオンに分かれやすくなっている成分というわけです。このリカルデントを歯の表面に塗ると付着してくれ、そして口内が酸性になるとリカルデント内のリン酸イオンとカルシウムイオンも溶け出し、つまり口内に両方のイオンが必要な時に増えるという仕組みになっています。リカルデントはペースト状の“MI Paste”という名で販売されています。また、ガムにも配合されていて、日本では簡単に“リカルデントガム”として販売されています。アメリカでは“Trident Extra Care”というガムに配合されています。MI Pasteは通常歯科医から求める物なのですがオンラインで例えばAmazon.comからも購入出来ます。 MI Paste は歯を磨いた後、歯に塗りそのまま放置するという風に使います。

そして、もうひとつの方法はNovaminという成分を使う事です。Novaminにはカルシウムとリンにナトリウムとシリカが配合されていて、この成分は水と反応します。つまり口内に入れ唾液と触れると化学反応を起こし、まず口内をアルカリ性にし、そしてカルシウムイオンを放出し、またリン酸イオンを作り放出します。このイオン達は口内がアルカリ性になっているのでそのまま歯の表面に付着し固まります。この成分は特別な歯磨き粉に配合されていてSultan Renew ToothpasteまたDr. Collins’ Restore Toothpasteに入っています。

もうひとつ使われているのはカルシウムとリン酸が分けてあってそれを使う時に混ぜあわせるという方法です。別々になっているカルシウムとリン酸を口内で混ぜる事によってその場ですぐに両方のイオンが歯に紹介され、またうまく“非結晶性リン酸カルシウム(ACP)”も作られるという仕組みになっています。この方法が使われている場合簡単にACP配合と言われています。主にDiscus Dental のBleaching Gelに含まれていてつまり歯を白くする際に歯を強化もするというわけです。Discus Dentalの Relief ACP Oral Care Gelにも含まれていて、このDiscus Dentalの製品はBleaching用の歯型に合わせたトレイに入れて使うものです。トレイを使っているのでACPが歯の表面に長く存在できるというわけです。

Novamin入り歯磨き粉やDiscus Dental の製品は歯科医から求めるものなのですがオンラインでも手に入ります。また、他にも似た製品やカルシウムだけが入っている歯磨き粉などあります。実際効化があるものであれば何でも使うべきなので私は皆お勧めします。当医院ではBleachingにはこのDiscus Dentalのものを使っています。また、リカルデントには歯垢に付着できるという大きな利点があります。Novaminにはすぐに歯にリン酸カルシウムが付着するという利点があります。

 

 

 

 

 
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