:次世代のため

 

次世代のため January 2011


明けましておめでとうございます。

今回はキシリトールと口内用プロバイオティックスについてもう少し書かせていただきます。(前に書いた物が欲しい方はお尋ねいただければコピーをさしあげます。)

口内には赤ちゃんが生まれた時にはバイ菌はいなく、生まれてからだいたい2歳ちょっとまでの間に誰か〈特にお母さん〉の口内から赤ちゃんの口内にバイ菌は移り住むという事がわかっています。そしてこの際にどういうバイ菌が口内に住みこむかでその子の一生の中で虫歯また歯槽膿漏になる可能性がどれだけ高いかが決まってしまいます。一度口内に住むバイ菌の種類が決まってしまうと、どんなに殺菌や歯ブラシをしてもするのを止めてしまうと同じバイ菌が同じように口内に繁殖し住みついてしまうのです。そして、キシリトールには虫歯菌を退治する役割があるのをみなさんもご存じだと思います。という事は、お母さんが赤ちゃんが2歳になるまでキシリトールガムを毎日噛んでいたら、お母さんの口内にはこの間には虫歯菌は少なくなるので、赤ちゃんには虫歯菌が移れなくなりこの子供は一生虫歯になりにくくなるのではないかと考えられます。

そして、この事を実際に研究実験した結果が2000年に発表されています。フィンランドのある大学での研究で、195人の妊婦さんでしかも皆虫歯菌のミュータンス菌を口内にたくさん持っている方たちを選び、この実験は行われました。この実験では赤ちゃんが3ヶ月から24ヶ月の間まで3分の一の方には甘味料がキシリトール100%のガムを1日4回噛ませ、3分の一の方には6ヶ月ごとにクロロヘキシディンという殺菌剤を歯に塗り、3分の一の方には6ヶ月ごとにフッ素を歯に塗るという事をしました。もちろん、赤ちゃんには何もしませんでした。そして赤ちゃんが2歳の時に赤ちゃんの口内にミュータンス菌がどれだけいるかを測ったのです。この結果ではキシリトールを噛んでいたお母さんの子供の10%にはミュータンス菌がみつかり、クロロヘキシディンでは30%、そしてフッ素では50%でした。つまり、他の方法も良いのですが、お母さんがキシリトールガムを噛んでいると一番効果があり、虫歯菌が赤ちゃんに移る可能性は10%となるわけです。しかも、この子たちの口内をその後5歳の時、6歳の時、そして10歳の時にこの研究家たちは調べていて、そのたびキシリトールガムをお母さんが噛んでいたグループは他の2つのグループより虫歯を治さないといけなかった事が70%も少なかったのです。

もちろん、普通お母さんが赤ちゃんと一番いっしょにいるので、お母さんの口内から赤ちゃんの口内にバイ菌が移る可能性が一番高いのですが、お父さん、おばあさん、おじいさん、親戚、赤ちゃんの兄弟姉妹など誰からでもバイ菌は移り得ます。しかも、赤ちゃんに移さないようにだけでなく、自分の口内の虫歯菌を抑える事が出来るので、実際は誰にもキシリトールガムはお勧めです。

ここでキシリトールガムの実用的な使い方を書きます。まず大事なのはガムの甘味料がキシリトール100%の物を使うという事です。 市販されているキシリトール入りガムには甘味料の1部がキシリトールである場合が多く、細かく原材料が記載されている所を見てみると他の甘味料がいろいろ並べて書かれています。キシリトールの量が50%以上であれば、ある程度効き目はあるのではないかと考えられてはいるのですが、キシリトールが100%では無いガムでの研究結果は無く、本当にどれだけの%がキシリトールなのかまでは100%以外の物には記載されていません。しかもキシリトールの量が多い程効き目が多く、キシリトールガムを噛む一番の目的は虫歯菌を減らす事なので、甘味料100%キシリトールのガムを使って下さい。アメリカでは、この100%のガムはHealth Food Storeで販売されています。この辺ではWhole Foods MarketやMother’s Market等にあり、ブランドとしてはSpry Xlear Gum やEpic Gum等があります。また、日本でロッテは実はキシリトールガムを2種類販売していて、普通に市販しているロッテキシリトールガムは100%キシリトール甘味料を使用していないのですが、歯科専用ロッテキシリトールガムは100%キシリトール甘味料を使用しています。 なぜキシリトール入りガムと名付けてあるガムに100%甘味料がキシリトールで無い物が多いのかと思われるかもしれませんが、キシリトールは他の甘味料よりもやや値段が高いのでガムの値段を安くし、しかしキシリトール入りという宣伝も出来るという考えからガムをつくっている会社がそうしていると考えられます。しかし、キシリトールの効果を考えると、この少しの値段の違いを気にしてはいけないと思います。そして、キシリトールガムは一日のうちに口に入れる回数が多いほど効いてくれます。記載した研究では1日4回だったのですが、1日3回食後には必ず噛み、そしてそれに加えて2回噛めればもっと良いと考えて下さい。また、一回ごとには5分~10分噛んで下さい。

また、もう一つお勧めしたいのが、口内用プロバイオティックスです。上記の研究ではキシリトールの効果がわかりますが、実際はどういうバイ菌が赤ちゃんの口内に移り住むかが大事なわけです。前のニュースレターでも書きましたが、口内用プロバイオティックスは虫歯と歯槽膿漏にならなくする善玉菌が入っているトローチで、毎日2回なめていると悪玉菌が少なくなり、虫歯また歯槽膿漏にならないようになります。よって、お母さんが赤ちゃんが生まれてから2歳ちょっとまで使えば赤ちゃんの口内に善玉菌が移って住んでくれる可能性がとてもあります。口内用プロバイオティックスはEvoraplusという物が一番知られていて、このEvoraplusはこの辺ではWalgreensで販売しています。また、このEvoraplusは当医院でも求められるので是非お聞き下さい。やはり、お母さんだけでなく、誰にでも効果があるので、みなさんにお勧めします。

もし、赤ちゃんの口内に虫歯菌は移らず、しかも善玉菌が移り住んだ場合、その子供は一生虫歯や歯槽膿漏になりにくくなります。しかし、赤ちゃん以外の方はガムと口内用プロバイオティックスの使用を止めてしまうともとのバイ菌たちが口内にまた繁殖しだします。それでも赤ちゃんの周りの人間が使う事によって赤ちゃんつまり次世代の人間が虫歯や歯槽膿漏にならないようにする可能性を秘めています。従って私はとてもお勧めします。

 

 

 

 

 
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