歯科専門医 August 2011

皆さん、この夏をどうお過ごしでしょうか？　私は一般歯科医として口内全体を診療していますが、場合によって専門医を紹介しています。歯科の専門医というものはアメリカでは普通におられますが、日本ではアメリカ程一般化されていないようです。そこで、今回は歯科専門医について書かせていただきます。

アメリカで歯の治療を受けた事がある方であれば、アメリカでは普通の歯医者があり、そしていろいろなスペシャリストとしての歯医者がある事をご存知だと思います。アメリカでは普通４年制の大学を卒業後、通常４年間の歯科大に行き歯医者になるのですが、その後どのスペシャリストになるかにより２年以上大学に行きスペシャリストになります。そしてスペシャリストになった場合、法律上自分の分野以外の治療はしてはいけないという事になります。従って、歯茎の治療専門の先生は虫歯は治せませんし、矯正専門の先生は歯槽膿漏の治療はしません。どのスペシャリストもその分野のものに絞って治療をしているので、設備や道具は非常に整っていますし、治療法もとても優れています。

この中で、口内全体を検診し、プランをたてるのが、一般歯科医になります。従って、アメリカで歯の治療をする場合、まずは一般歯科医に行き、そこから必要に応じてスペシャリストに行っていただくという事になります。歯科矯正をする前には虫歯や歯槽膿漏は治しておく必要性がありますし、歯が歯槽膿漏で非常に侵されていては虫歯を治す事はできません。一本の歯を治すのにもとなりの歯の状態を把握している必要性があります。口内全体皆繋がっているので、まず一般歯科医で全体の構図を診て、そこから特別なスペシャリストに行っていただき、皆がチームワークをして口内を健康な状態に導くという事になります。

一般歯科医は口内全体を診療するので、法律上一般歯科医はスペシャリストがしている治療もして良い事になっています。これだけ学んでないといけないとかこれだけ経験がないといけないと言う規制は無いので、個々の歯医者さんの経験、知識、責任感、判断力、また人格がとても大事になります。もちろん、治療の責任はとる事になるのですが、つまり一般歯科医は矯正をしても歯茎の手術をしても良いわけです。私自身は患者さんにどうすれば一番良い治療になるかを考え、スペシャリストでの治療が必要かどうかを判断し、スペシャリストの方を紹介させていただいています。また、スペシャリストと言っても、その先生によって治療の違いがあるので、私がみて優れた治療をするスペシャリストの方を紹介しています。この中でひとつわかりずらい事があるのですが、歯科インプラントに限ってはアメリカの法律上インプラントスペシャリストというものはありません。通常、手術であるので口腔外科(Oral Surgeon)か歯茎治療専門医(Periodontist)がインプラントを入れ、一般歯科医がその上の治療をするという事になるのですが、法的にはインプラントスペシャリストはいないので、どこでインプラント治療をするかは気をつけていただきたい所です。上記しましたが、私は自分で安心出来る優れた専門医の方を紹介しています。

実際は日本にもスペシャリストの方はおられます。各診療分野の学会があり、そこで認定されてなるという制度があるのですが、日本では法律上は歯科専門医というものはありません。前にこのニュースレターで書いた事がありますが、一般的には残念ながら日本人の方はアメリカ人の方にくらべて歯の健康を気にされていないという傾向があります。グローバルな考えのもと、少しずつ変わってきてはいますが、日本では歯の治療の専門医というものの需要性もアメリカほどなく、日本ではスペシャリストはいても見つけにくいようです。

歯はとても大事です。そして、口内の健康は体全体の健康に繋がっています。私が判断してスペシャリストの方を紹介している場合、歯や歯茎の状態が非常に悪化している場合が多いです。人間の体は歯の治療が雑でもある程度はその歯をもたせてくれるのですが、やはりきちんとした治療でなければ長持ちはしません。従って、もし必要なのであれば私はこのアメリカの専門医のシステムを使ってアメリカでスペシャリストでの治療を受ける事をお勧めします。歯と歯茎の健康は大事な事はわかっていても忙しい毎日の中ついつい治療も健康管理も怠ってしまうのはわかります。しかし出来るだけ口内の健康に気をつかって下さい。そして、治療や検診のためにはお電話下さい。