

歯科用接着剤の進歩 September 2011
今回は歯科用接着剤について書かせていただきます。 歯に付けるためには歯のエナメル質とその中にある象牙質両方に強い接着力がある必要があります。と言っても、96%ぐらいが無機質であるエナメル質にはとても強い接着力があり、70%ぐらいが無機質の象牙質には接着力はあるのですが、少し弱くなります。また、象牙質の構造からして、中の歯髄に近くなればなるほど接着力は弱くなります。従って、この接着力だけを考えても虫歯は早めに治した方が良いと言えます。 歯科用セメントが歯に付く必要性があるのはもちろんですがそれと共に詰め物やかぶせ物の材質にも良く付いてくれる必要性があります。今現在は金属多種、レジン、セラミックなどいろいろな材質に強く接着力があるようになっています。 噛む力は大きいですし、冷たいものから熱いものまで私達は口内に入れます。また、唾液で濡れている環境でもあります。そして、歯があまりにも虫歯で無くなっていた場合、この歯にどんなに強い接着剤で詰め物やかぶせ物をつけてもそれが取れてしまう可能性があります。また、噛む力がとても強い方であればやはり歯に付けた物が取れてしまう事はあり得ます。ですが、良いセメントを使う事により出来るだけ詰め物やかぶせ物が長持ちします。私自身はいつも個々の方の歯と口内の状況ではどのセメントをどう使えば一番患者さんにベストであるかを考えて治療をさせていただいています。 面白い事にとても優れた歯科用接着剤は日本製の物がいくつかあります。前にニュースレターで書いた事がありますが、エナメル質だけでなく象牙質にも接着できるようになった技術は実は日本人の方が発明し、日本で大きく発達したものなのです。もう30年ぐらい前に始まった事でそれが他国にも行きわたり今はその昔よりももっと優れたセメントが存在しています。 歯科用接着剤はとても進化しています。しかし理想としてやはり虫歯は小さいうちに治して下さい。待てば待つほど虫歯は大きくなってしまい、接着剤の力も虫歯が大きいと中の方は弱くなります。しかも大きな治療であればあるほど治療に時間と費用がかかります。皆さんもご存知だと思いますが、虫歯は見つけたら早めに治し、そこからは毎日良く歯磨きとフロスをし、そして定期的に6ヶ月に一度は歯医者さんでの検診とクリーニングをして予防に努めると言う事が最良です。
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