根管治療 April 2013

 虫歯が歯の中の神経まで届いてしまっていたり非常に近くまでいってしまっていた場合、歯の治療でする必要性があるものが歯の神経を取り除く事です。歯の中の神経は歯の根の先端から歯の中部に続いているので歯の神経を取る治療を根管治療(Root Canal Therapy)と呼びます。本来は虫歯が神経の近くまで達してしまうほど大きくなる前に虫歯を治しておきたいですし、また虫歯になる前に出来るだけ予防をしておきたいところです。しかし、いろいろな理由から手遅れに近くなるまで虫歯を放っておく事は残念ながら多くあります。ですが、もし虫歯の量が多くても根管治療がまだ可能であれば歯を抜かずにすみます。そこで今回はこの根管治療について詳しく書かせていただきます。

一本の歯には根が1本から4~5本まであり、奥歯のほうが根の数が多くあります。そしてそれぞれの根の先端から歯の中に神経が入っています。この中でそれぞれの歯の形、また根の形は違いますし、また神経は歯根の中にまっすぐきれいに入っているわけでもありません。従って、歯根はいろいろ曲がっていて良いわけで、神経もいろいろな形で、また植物の根ほどでは無いですが、そのように一本の歯根の中である所から横にいっていたり、2つ、3つに分かれていたりします。根管治療は単に歯の中の神経を取るだけでなく、その神経を取った所の隙間をとても良く消毒し掃除をし、そしてこの隙間を特別な体に触れていても大丈夫な材質のグタパーチャという物で埋めるまでの治療でもあります。従って根管治療をする事は歯医者にとって簡単な作業ではありません。ただ、技術の発展により、いろいろな優れた方法が出来ていて、治療がより良いものになってきているのも確かです。

根管治療をする際の基本の中で大事な事が治療中消毒を良くし、唾液内のばい菌が神経を取った箇所に入らないようにする事です。このためにゴムの膜を口にし、治療する歯だけを見えるようにするラバーダムと言うものを歯に取り付ける事をします。必ずこのラバーダムを歯に着けないといけないわけではないのですが、このラバーダムをしての治療の成功率は90%なのに比べ、ラバーダム無しの治療の成功率は50%以下と言うデータがあります。ところが、ある日本の歯科の記載物に日本の歯医者の大部分は根管治療の際ラバーダムを使っていないと書いてあります。どれだけ本当にそうなのかは私にはわかりませんが、この記事によるとつまりあまりにも日本の保険での根管治療への支払いが少ないので、手間をはぶかせ時間を削減させるためにラバーダムは使わない事がたくさんの歯医者にとっては現状になっているという事です。この記事には丁寧に時間をかけて根管治療を保険だけの費用ですると歯医者は赤字になってしまうと書いてあります。私はたくさん日本からアメリカに来ている患者さんを診ていますが、困った事に確かにレントゲンを撮ってみると根管治療の詰め物がとても不完全であったり、根管治療をしてある歯の根の先が大きく化膿している事を多くみます。日本でされたものでも良い治療も診ているので全てが悪いわけではありませんが、ラバーダムについてだけでなくいろいろな治療に保険の支払いが少ないため治療の水準がどうしても下がっているようです。私たちの体は不完全な治療や化膿しているところがあってもどうにかそれを抑えて痛みをなくしてくれるようにうまく出来ています。しかしじょじょに悪化してしまい、5年、10年と経った後にはずいぶん問題が大きくなっている事になってしまいます。歯を抜くしかもう治療法は無く、入れ歯になるかまたは出来るのであればインプラントをする事になります。ただ、患者さんも痛く無ければ気にしないし、未来を考えなければ、安いからそれで良いというのが日本の現実のようです。もちろん日本でもアメリカでもぴんからきりまでの治療が受けられるので、アメリカだから良いというのも違います。また、日本でも実費でする事になる可能性が高いですが、良い根管治療をする歯医者さんは多くいると思います。

また、それではもしもう根管治療がされてある歯が悪くなっていたらどうすれば良いのかという問題があります。私はもし根管治療をやり直す事ができるようであれば、とても良い根管治療の専門医を患者さんに紹介しています。これは根管治療のやり直しはすでに根管治療が簡単では無いところにそれが不完全に治療されていてしかも化膿している場合、非常に治療が難しくなってしまうからです。根管治療のやり直しはだいたい60%ぐらいしか成功率がないというデータがあります。しかし、もうひとつ、専門医が出来るだけの事をつくした場合のデータがあり、それでは85%~90%の成功率とされています。専門医の方は出来るだけの事をし、また今は顕微鏡を使って根管治療をしています。従って、日本でもアメリカでもですが、根管治療のやり直しが必要であれば、良い専門医に行く事はとても大事です。

人間のする事はどうしても完璧ではなく、また、根管治療は歯根や神経の形からして出来るだけうまくしても問題が後で生じる事はデータ上でも10%はあるのですが、私は成功率を高めるためにアメリカで根管治療をされるのをお勧めします。日本でされる場合は専門医または少なくともラバーダムをする歯医者に行っていただきたいです。歯は体の一部のとても大事なものです。ですから、予防に気を使い、そして虫歯も発見したら出来るだけ小さいうちに治しておくことを本当にお勧めします。しかし根管治療をしないといけない場合、またやり直しをしないといけない場合にはあまり金銭的な事に縛られないで良い治療をしていただきたいです。良い治療には大きな価値があります。もちろん、治療のため、また予防のための検診やクリーニングのためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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