歯磨き粉は必要では無い?!   December 2013

え?なんという題だ。と、思われるかも知れません。また、そんな事は知っていると思われる人もいるかも知れません。また、あれ、でも先生は歯磨き粉(歯磨き剤)を使う事を勧めていませんか?と思われるかもしれません。しかし、実際歯磨き粉は歯を磨く際に絶対に必要ではありません。

歯を磨く一番の理由は毎日歯に付着していく歯垢を取り除く事です。歯垢は粘々していてその中にバイ菌が住んでいます。単に水やマウスリンスで口を濯いでもいろいろな薬を付けてもこの歯垢は取れません。歯垢をとるためには物理的に何かで削ぎ取る必要性があります。この作業をするのが歯ブラシとフロスなのです。そしてこの削ぎ取る作業に歯磨き粉は必要かと考えると、別に無くてもちゃんと歯は磨かれていると言えてしまいます。シャワーを浴びる時に石鹸を使いますが、石鹸は汚れを囲んで取り除きやすくしています。しかし歯磨き粉には石鹸と同じ成分は入っていません。でも研磨剤や泡立ちをさせる成分が入っているではないかと思われるかもしれません。しかし研磨剤はとても弱い物でないと歯を削ってしまうので、とても弱い物が入っているだけです。そして泡がたてば汚れが浮きあがるので良いと思いがちですが、実際泡は無くてもちゃんと歯垢は取れます。

ではなぜ歯磨き粉を使う事は正しいのでしょうか?歯磨き粉を使う理由は3つあります。ひとつはミント味や泡立ちは口内をすっきりした気分にすると言う事です。もうひとつはフッ素入りの歯磨き粉であればフッ素が歯の表面を硬くしてくれるので、虫歯の予防になると言う事です。そしてもうひとつは他にも歯磨き粉にはいろいろな良い薬が入っているからです。つまり、歯の表面に付着して歯に歯垢がくっ付きにくくする薬、歯茎のために良い薬、また冷たいものが沁みるのを防ぐ薬などいろいろな薬が歯磨き粉に入っています。従って、歯磨き粉は歯と歯茎の健康維持のために手助けをしています。ただ基本的には歯磨き粉は無くても歯垢はとれます。

じゃあいつものように歯磨き粉を歯ブラシに付けて歯を磨けば良いのだと思われるかもしれません。しかし、ここに気をつけないといけない落とし穴があります。歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨く場合、歯磨き粉によるすっきり感は,良く歯を磨いていなくても歯が綺麗になっていると思ってしまうもとになりやすいのです。ある1998年の研究ではまず歯ブラシに歯磨き粉をつけないで良く磨いて、最後に仕上げに歯磨き粉をつけてすっきりさせて下さいというグループと最初から歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨くグループとに分けました。この研究では両方に毎日2回この方法で歯を良く磨いて下さいと伝えました。そして6ヶ月後にこの2つのグループの歯茎の状態をチェックしました。結果はおわかりかと思いますが、まず歯磨き粉をつけなかったグループの方が、最初からつけていたグループよりも55%ぐらい歯茎から血が出るのが少なくなっていたという結果が出ています。従って、歯磨き粉を付けないで歯を良く磨くと言う事は使った際のすぐのすっきり感が無いのでそれだけ歯を良く磨く可能性を秘めています。

この研究は実際まず下の歯の裏側から磨くようにというものでもあり、というのは、下の歯の裏側は良く歯石がたまるところでもあり、また下の歯の奥歯の裏側は磨きにくいので歯周炎になりやすいところでもあるからです。この研究では6ヶ月後、下の歯の奥歯についている歯石の量も歯磨き粉を使っただけの人よりもまず歯磨き粉を使わなかった人の方が63%少なかったという結果が出ています。このひとつの研究データだけでは解りませんが、理に通っている事がひとつあります。歯を磨く際、下の歯の裏側から始めると、最初に磨くところなのでここを良く磨く可能性があります。

実際はどういう方法で磨くにせよ、口内の歯の表面全体から歯垢が良く取れていれば良いわけです。従って、上記のインフォメーションを自分なりに考えて歯磨きの際に使って下さい。歯磨き粉は使って頂きたいですが、歯磨き粉が無くても歯は良く磨けます。また、歯磨き粉に頼ってしまって歯を良く磨かないという事はいけません。そして、そういえばどうも下の歯の裏側が良く磨かれていないで、歯医者さんでもここを良く磨くようにと言われているようであれば、ここから歯磨きを始めるのは良い方法です。12月は師走というだけあって、いろいろ忙しいかもしれませんが、こういう時、またいつでも、歯の手入れを怠らないように気を使って下さい。検診、クリーニング、また治療のためには是非お電話下さい。

 

 

 

 

 
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