口内のバイキンと体の健康   December 2014

私たちはバクテリアと共に生きています。直径が10円玉一枚ぐらいの大きさの唾液の中にバクテリアは8億(0が9回つきます)ぐらいいて、つまりこれだけの中に地球上の人口以上の数のバクテリアが住んでいます。と言っても、バイキンの種類はたくさんあり、いろいろなバイキンは私たちの体に害は与えないですし、むしろ体に良い種類もあります。しかし、ある一部の種類のバイキンたちは体に害をもたらします。もちろん、歯槽膿漏の原因となるバイキンの種類がいくつかあり、また虫歯の原因となるバイキンもミュータンス菌以外にもいくつか種類があります。大部分これらのバイキンの種類は解っています。そして、このバイキンたちは口内に留まらず、体中に血管を通して回っている事も解っています。以前口内のバイキンと共に歯槽膿漏から起こる炎症物質も体中に回っている事をニュースレターに書いているので、ホームページ上の 頭の回転と歯槽膿漏 January 2014 を是非お読み下さい。今回は2つの体の病気と口内のバイキンの関係を紹介します。

まずはアルツハイマー型認知症について書きます。アルツハイマーは今は代表的な認知症なので、みなさんもご存知だと思います。アルツハイマーの患者さんの脳には異常に多くのアミロイドというたんぱく質が蓄積されている事が解っています。そしてこの蓄積は症状が診える時から20年ぐらい前から少しずつ起こっていきます。そしてこのアミロイドの量が多くなるにしたがって認知症は悪化します。従って、アミロイドが脳細胞を弱め、働けなくしていると考えられています。近年、この脳に蓄積されたアミロイドの中にある一定の種類のバイキンが発見されています。実際は6つの種類でみなspirochetes系のバクテリアでしかも皆歯槽膿漏の原因にもなるバクテリアでした。口臭のもとにもなるバクテリアたちなのですが、なぜか、98%のアルツハイマーの患者さんの脳内のアミロイド内にいたのです。しかもアルツハイマーにかかっていない患者さんの脳内には見つかっていません。この発見にもとずき、ある仮説が考えられています。この説では、まず脳に害のあるバクテリアが脳内に入ってしまうと、それを退治するためにアミロイドたんぱく質が脳内に作られ、しかし結果的にアミロイドは脳細胞を弱めてしまっているのではないかとなっています。もちろん他にもいろいろな仮説があり、何が起こっているのかははっきり解っていないのですが、歯槽膿漏として害を与えるある一定のバイキンたちはアルツハイマーに何かしら関係しているわけです。以前の 頭の回転と歯槽膿漏 January 2014 の記事に炎症物質を通じて脳の力と歯槽膿漏は関係していると書いていますが、それと共にバイキンたち自身も害を及ぼしているようなのです。

そして、もうひとつ今度は心臓発作について書きます。心臓発作をおこした患者さんの血管に付着した血栓を調べるとその中にはいくつかのバクテリアが見つかります。そして 患者さんの約50%の方たちの血栓内からは口内で歯槽膿漏、しかも虫歯の原因となるバクテリアが発見されています。もちろん心臓発作を起こす以前から体にはいろいろな問題が目で見えていなくても存在していてある日心臓発作が起こるのですが、このバクテリアたちは心臓発作を起こすための引き金のひとつではないかと考えられています。

まだまだはっきりとは解っていないことが多いのですが、口内のバイキンは血管を通して体中に回っているのは確かです。口内で害を与える事の出来るバイキンは体内でも害を与える可能性は高いと考えられます。従って口内の害のあるバイキンの量を減らせば体全体の健康に役立ちます。私はたくさんの患者さんの口の中を診ていますが、口内が健康な方は全体的にも健康に見える事が多いです。ですから本当に口内の健康に気を使ってください。毎日の歯磨きとフロスは一番のバイキンを取り除く手段です。それと共に歯医者さんでの定期的なクリーニングもとてもおすすめです。そして歯槽膿漏も虫歯も出来る限り早く治していただきたいところです。もちろん、お電話いただければ、治療やクリーニングをし、お助けします。12月は師走と言われるようにお忙しいかもしれませんが、それでも出来るだけ口内の健康、そしてそれと繋がっている体全体の健康に気を配ってください。

 

 

 

 

 
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