治療後のケア March 2018

たまに治療をすまして歯が修復された後にこの歯はもう虫歯にはならないのかと聞かれる事があります。実際は当たり前の事なのですが、歯が少しでも残っていればこの歯にはまた虫歯が出来る可能性があります。残念な事に場合によっては治療をしてから後にずっと何年間も検診とクリーニングに来ておられず、ある日来られて、前に治した歯にまた大きく虫歯が出来ているという事さえも診ます。だいたいこういう場合には歯垢や歯石も随分歯の周りにたまっています。当たり前の事なのですが、治療後は治したからと安心して歯を磨かないのでは無く、毎日の歯磨きとフロス、そして定期的な歯医者さんでの検診とクリーニングもそこからの予防のためにとても気にしていただきたいのです。そこで、今回は治療後のケアの大切さについて詳しく書きます。

お分かりだと思うのですが、虫歯や歯槽膿漏になってしまい治す必要性が出来ている場合、それまでの歯の手入れ、また食生活はとても関係しています。従って、治せばその後は毎日いままでどおりでも良いとは思わないで下さい。せっかく虫歯を治しても、毎日の歯磨きとフロス、そして定期的な歯医者さんでの検診とクリーニングを怠ってしまい、また毎日糖分、また洗練された炭水化物を多く摂取してしまえば、また虫歯は出来てしまいます。歯槽膿漏も同じく、治した後、歯と歯茎の間の掃除を良くしていなければ、また戻ってきて歯茎を傷めます。もちろん、口内に住んでいるばい菌の種類、また遺伝は関係しますが、もし虫歯または歯槽膿漏になり安い方なのであれば、治した後は実際はそれまで以上に気を入れて歯と歯茎の手入れをしていただきたいのです。

この上記の事はどの歯、歯茎の治療にも同じに適用します。

歯を詰め物で治した場合は歯の残されている所は多くあります。また、詰め物で治してある場合、いつどのように治したかによって詰め物と歯との間から虫歯になる可能性が変わります。これは今現在は歯と詰め物とはとても強い接着材でつけられるようになっているからです。ところが、古い詰め物は強く接着されていない場合があり、また時の流れと共に接着力も弱まるからです。また、いつしたにしても、どういう接着剤をどのように使ったかによって接着力は変わってしまいます。もちろん、良い接着剤を良く使っていれば、虫歯菌は詰め物と歯の間に入りずらいわけです。でも、その逆もあります。しかし、歯と詰め物の間でなくても、歯が残っていればそこは虫歯になりえてしまうので、同じ歯で詰め物がされていない箇所が虫歯になってしまう事もあります。したがって、良い治療のほうが虫歯には次になりにくいとは言えますが、基本的にどういう詰め物の治療であっても必ず歯磨きとフロスを良くしてください。

この事は歯を完全に被せるクラウンの治療にも当てはまります。クラウンは完全に歯に被せてあるから虫歯にはならないだろうと思われがちです。しかし、クラウンも中に歯がまだあります。外に見えている個所はクラウンのはじのところのみで歯根のところだけですが、ここも虫歯になります。また、クラウンもどういう接着剤をどのように使ったかによってやはりクラウンと歯の間から虫歯のばい菌が入りやすくなったり入りにくくなったりします。従って、クラウンをしている歯もやはり他の歯と同じに歯磨きとフロスを良くして下さい。

インプラントも同じに歯磨きとフロス、そして歯医者さんでの定期検診とクリーニングをして下さい。インプラントは虫歯にはなりません。しかし、歯槽膿漏にはなります。インプラントはとても頑丈で良い治療方法なのですが、歯槽膿漏になってしまうと本物の歯より治りにくいという弱点があります。インプラントは骨にはとても強く繋がるのですが、歯茎には強く繋がらないからです。本物の歯の場合、歯茎と歯はたくさんの繊維によって繋がっています。もちろん、歯槽膿漏は歯と歯茎の間、またインプラントと歯茎の間にばい菌が入ってしまいおこすものですから、簡単に予防は毎日の歯磨きとフロス、そして歯医者さんでの定期的なクリーニングなのです。インプラントの歯、そして他の治療後の歯でも歯ブラシやフロスが届きにくいところであれば、ウオーターピックを使ってみてください。ウオーターピックは水がシューッと吹き出てそれで歯そして歯と歯の間とを良く掃除する器具です。普通に市販されています。

また、入れ歯をしていても歯がいくつかでも残っていればこれらの歯もやはり良く歯磨きとフロスをしてください。また入れ歯自身も毎晩入れ歯を掃除する液体につけるか入れ歯用の歯磨き粉で磨くかをしてください。これは入れ歯にも歯垢や歯石（つまりばい菌）がつくからです。入れ歯は寝る時には外してください。外した入れ歯は水または入れ歯掃除用の液体につける事をしてください。

私たちの大人の歯は失くしてしまえば、また新しく生えてきてはくれません。また、虫歯で穴があいてしまえば、自らは修復しません。良く初期の虫歯であれば自ら治るといわれますが、厳密にはこれはミクロの世界の本当に初期の時のみの事です。従って歯をとても大事にして下さい。私は修復する事が出来ますが、その後も気にして大切に手入れをしてください。夜寝る前とても眠くても、疲れていても歯磨きとフロスをして下さい。朝起きた時もです。もちろんそれと共に歯医者での定期検診とクリーニングをして下さい。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話下さい。