歯周病は腸にも悪い March 2020

大体の方は今はわかっていると思うのですが、私たちの腸内細菌たちはとても私たちの体の健康に関与しています。私たちは細菌たちと共存していて、腸内細菌は体のいろいろな臓器に、そして脳にも、影響を与えています。もちろん、口内にも細菌はたくさんいます。まだまだ分からない事が多いのですが、今回は体の健康にとても大切なので、歯周病の腸への影響について書かせていただきます。

まず、私たちの体内に住んでいる細菌たちについて少し書きます。簡単に腸内には、というか口内にもですが、善玉菌、悪玉菌、そして日和見菌(ひよりみきん)と3つの種類の細菌がいます。日和見菌は普通は良くも悪くもないのですが、善玉か悪玉が増えるとそれにしたがって自分たちも良くなったり悪くなったりする菌です。そして私たちの体内には私たちの体全体を作る細胞の数と同じぐらいかそれよりも多い数の細菌たちが住んでいます。大部分は大腸にいてざっと38兆ぐらいで、歯垢内には1兆ぐらい、そして唾液内には1000億ぐらいと考えられています。一応これらの数はもっと多いという考えもありますが、兆単位でめちゃくちゃに多いという事です。そして、腸内細菌は体中にいろいろ影響を及ぼす事も知られています。腸内環境が悪いと、肌のトラブル、癌、糖尿病、アレルギー、うつといろいろな問題がおこってきます。ネズミでの研究では腸内細菌を変える事によりネズミの性格さえも変えられる事がわかっています。従って、腸内細菌は私たちの臓器のひとつという考えもあります。

腸は腸ですが、口内の細菌との結びつきがあります。もちろん、口と腸は繋がっています。そして、口内の細菌たちは唾液、歯垢と共に胃へと入っていきます。ただ、胃酸は大部分バクテリアを殺菌してくれます。小腸も殺菌します。つまり、口内の細菌の大部分は大腸まで生きては届かないはずなのです。ところが、近年、ネズミでの実験で歯槽膿漏の大本のP.Gingivalisという細菌を口から投与すると、なぜか、腸内の悪玉菌が増え、つまり腸内環境が悪化することがわかったのです。これは調べてみると、どうもこの口内細菌は死んでも、細菌内の悪い物質が腸に届いていき、腸内の細菌たちと反応し結果的に悪玉菌を増やす事をするらしいのです。もちろん、そうなってしまうと腸はやはり体中に悪影響を及ぼします。

腸に関係なく、歯周病の細菌と炎症物質は血流を通して体中に回っていきます。この際、実際は虫歯菌も血流に入っていきます。そして、この事が体のいろいろな箇所に悪影響を与える事は知られています。しかしそれだけでなく、口内細菌は死んでも死骸が腸内環境に関与しているらしいのです。もちろん、ネズミでの実験結果でしかないと言えばそうですが、もっと良くない事も発見されています。なぜか人間でもネズミでも肝硬変(肝臓の一部が硬くなってしまい肝臓の働きが低下してしまう肝不全になる前の状態)があると、腸内に口内細菌が多くみつかるのです。また、なぜか腸に癌があるとその箇所にも口内の細菌が多くみつかるのです。癌の場合、前に述べたP.Gingivalisもその個所に多く存在します。口内の細菌は少しは胃や小腸を生きたまま通過しているのかもしれません。または、血流から腸内に入っていったのかもしれません。どちらにせよ、歯周病は腸内環境に悪影響を与えます。

もちろん、歯周病は歯の周りの骨を溶かして歯が抜けてしまう事の原因であり、また口臭の素でもあります。それだけでも良くないのですが、血流を通して体中を不健康にし、しかも腸内環境も悪化させるのです。

治療と予防は簡単にばい菌を歯と歯茎の間から良く取り除き、そして歯と歯茎の間を常にきれいにする事です。みなさん、毎日必ず良く歯磨きとフロス(ウォーターピックも良いです)をしてください。歯医者での定期クリーニングも本当にお勧めです。口内の健康と体全体の健康は繋がっています。定期検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。

 

 

 

 

 
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