治療の良し悪し August 2021  

ついに東京オリンピックが開催されました。変な環境の中でしたが、とても良いオリンピックだったと思います。パラリンピックも良く進行することを祈ります。オリンピックの競技をテレビで観るといつもどれだけ人間がすごい事を成し遂げられるかに感心します。もちろんこれはどの世界でも同じで日本の町工場の職人さんが機械だけでは作り得ない精密な部品を作りあげたり、いろいろな芸術家がとても感動する芸術を生みだしたりと、人には素晴らしい事が出来る可能性が大きくあります。もちろん、歯の治療も同じでとても優れた良い治療が可能なのですが、逆にとても良くない治療も大部分患者さんにはわからないので、されてしまう場合もあります。人間の体はとても優れたもので、自らオリンピック選手の様にすごい事ができるのですが、それと共に体にいろいろ良くない事をしてもある程度まで抑えて対応してくれるからです。従って、歯の治療も雑に虫歯を残して治療しても、詰め物がぴったりしていなくても患者さんはわからないまま長い年月がたつという事はずいぶん簡単におこります。もちろん、年月がたった後に大きな問題になってしまい治療も難しくなります。どうせ患者さんには治療の良し悪しはわからないので、こんなことを書いても意味がないとも言えてしまうかもしれませんが、私はわかる人はわかるとも思います。そこで、今回はこの治療の良し悪しのギャップについてもう少し詳しく書きます。

まず、良い治療にはとても細かい事が大事だという事を書きます。目に見えるものや痛みは患者さん誰でもわかりますが、それ以上にミクロの世界を配慮する必要性があります。1ミクロンは1mmの1000分の1なのですが、普通バクテリアは0.2から10ミクロンの間の大きさです。という事は歯に取り付ける詰め物はこの事を考えて出来るだけ隙間が歯との間に無いように作る必要性があります。ミクロの世界は見た目ではわかりきれないので、これは歯の治療に使う器具から指先に伝わる感触で判断します。また私たちの歯は噛み合わせる時にとても小さな違いまで感じ取れるようになっていて、実際は0.5ミクロンぐらいまでの差を感知できます。という事は歯を治す際、上下の歯が合わさるところも0.5まではできなくても、ミクロンの単位まで合わせて作る事が理想になります。私は噛み合わせはまず厚さが21ミクロンのシートでチエックし次に厚さが8ミクロンのシートでチェックしています。そして、噛んでカチカチとした時の音の違いをチェックします。0.5ミクロンのシートは存在しませんが、出来るだけ細かなところまで判断する必要性があります。このためには集中力がいるのですが、それと時間もそれなりにとる事になります。

しかし、この逆も全然普通にできます。だいたいどの患者さんも詰め物と歯の間の隙間の大きさは舌で触るところでなければわかりません。また、最初は隙間にセメント(接着剤)を入れて埋めれば良いではないかとも言えますが、長い目で見ると隙間が大きいとこの接着剤は溶けだし、そこから虫歯になりやすくなります。また、噛み合う部分は1本の歯であれば最初から噛み合わせが全然無いように作ると大部分患者さんはわかりません。他の歯に噛み合わせがある程度あると患者さんは1本の歯については気付かないのです。ただ、1本の歯だけが高くて当たっていると必ず気づきます。しかし、噛み合わせが何もなく作ればとても素早く治療が出来ます。従って、雑に治療をする事は細かい事を気にしてするよりも速く、簡単に出来て、しかも患者さんには違いがわからないという事が起こります。もちろん、歯はいつも動くので、うまくいけば、そのうちにこの歯は動いて噛み合うようになるかもしれません。しかし、歯は良いところに動くのでは無く、勝手気ままに動きます。しかも動かないかもしれないのです。噛み合わせに関しては、もし少しずつ歯をこのように治していってしまうと、どこかで噛み具合がおかしくなり、顎関節症になったり、変にあたりすぎている歯が割れてしまったりします。長い目で見ての事なのですが、つまり、歳をとってきて問題が起こるのです。しかも、最初から良くない治療は後で治すのが難しくなります。

もちろん、歯医者さんは完ぺきではないので、絶対に良い治療をいつもするという事はできませんが、いつも心掛けて気を引き締めて治療をする事が患者さんのためになります。また、上手な歯医者さんはやはり良い治療さえもある程度スピードもあって出来ますが、同じスピードで雑な治療をした歯医者さんがいた場合、患者さんには違いはわからない事が多いのも事実です。私はいつも出来るだけ集中して良い治療をするようにして、もし何かしら良くなければ、それには時間をかけてでも良い治療をすると心がけています。めんどくさいなーと思う事はあるのですが、でもプロはそうであるべきです。一応、患者さんには治療の良し悪しはわからないので、患者さんの立場からは、ただただ自分が信頼できる歯医者さんに治療をしてもらうという事になります。

私を信頼してきてくださる患者さんはとてもありがたいです。治療の良し悪しについて今回は書きましたが、一番大事なのは予防です。みなさん、毎日歯磨きとフロスを良くして、そして歯医者での定期検診とクリーニングもして下さい。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。

       

 

 

 

 
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