治療の寿命 December 2021 もう12月ですね。コロナの状況はまだ続いていますが、毎日体の健康を考えて体に良いものを食べて、出来るだけ良く睡眠をとって、暮らしてください。さて、治療の際にたまに患者さんにこの詰め物やクラウンはどれだけ長持ちするのかと聞かれる事があります。もちろん、実際は治療の質や内容、そして患者さんの歯の手入れの良さ、また患者さんの食生活などにとても影響されるので、これだけ持ちますよと簡単に言う事は出来ません。しかし、解っている事はあります。つい最近、歯の修復後の寿命についての今あるいろいろな研究や調査の結果をまとめたレポートがだされました。そこで、今回はこの調査結果を紹介し、また私の考えも入れて、歯の治療後の詰め物やクラウンがどれだけ長持ちするかについて書きます。 歯を治す際に使われる物はたくさんありますが、皆さんもだいたい知っておられる主なものはレジン、アマルガム、セラミック、セラミックが金属に焼き付けてあるもの、いろいろな金属、ジルコニアなどです。普通に小さな詰め物であれば、レジンが使われています。アマルガムもなのですが、私は使っていません。ただ、レジンはある程度大きくなると弱すぎて割れてしまうので、大きな治療には他の物が使われます。そして、この他の物、つまりセラミックや金属やジルコニアなどは15年ぐらいは持つということがレポートに書かれています。このレポートでは普通の小さな詰め物のレジンはだいたい8年から12年は持つとしています。ただ、大きく詰めたレジンは5年から6年の寿命になっています。もちろん、これは最初から無理がある事をしているわけで、仮の治療だと考えて良いと思います。そして他のものももう少し詳しく書くと、ジルコニアは10年から15年、セラミックをメタルに焼き付けてあるものは15年から20年となっています。そして一番長持ちするものは金でこれは20年以上持つと書かれています。ただ、このレポートはいろいろな研究や調査をまとめたものではあるのですが、それぞれの調査内で治療の質がどれだけ良かったかはわからないので、だいたいはこうでしょうという結論ではあります。レジンだけでもいろいろな種類のものがあり、それらのものをいろいろな方法で歯に付ける事ができるので、簡単にこの数値があっていると言いきることはできません。 昔、私はある歯科のセミナーで患者さんには治療したものが何年もつかはわからないと伝えるべきと聞きました。確かに、患者さんの歯の手入れがどれだけ良いか、また患者さんが毎日何を食べているか、患者さんの口内に虫歯菌はどれだけいるのか、などいろいろな事が治療したものの寿命を変えてしまいます。しかも歯の治療の質もとても関係します。当たり前ですが、良い治療であればあるほど治療したものは長持ちします。もちろんいつも完ぺきという事はあり得ないのですが、私自身は出来るだけ良い治療をする事を心掛けています。 また、いくつか治療について書いておきます。小さな虫歯を治すためにはレジンが一番良いと言えます。治すために歯を削る量が少なくて済みます。他のものでだと虫歯の大きさに関係なくもっと多く歯を削る必要性があります。また、一応、ジルコニアはまだ10年ぐらいしか使われていないので、それ以上の年月のデータは無く、従って10年から15年持つというのは予想で、もっともつかもしれません。ただ、ダントツに一番長く持つものは金です。金は色が歯と同じではないので、前歯に使う事はだいたいありませんが、私は一番奥の歯にクラウンが必要な方にはベストは金ですと伝えています。他のものと比べて金は硬さが歯にとても近く、また歯垢が付着しにくいので、虫歯になりにくくもします。もちろん、患者さんが歯の色にされたい場合にはそれも出来ます。実際は歯の色のクラウンもいろいろな種類のもので作る事ができ、私は個々の患者さんにはこれが一番あっていると考えてそうしています。また、アマルガムについても少し書いておきます。寿命だけを考えるとアマルガムは小さな詰め物であれば金と同じぐらい20年以上持ちます。ただ、アマルガムは50%水銀で出来ているので、今はあまり使われていません。実際アマルガムは錆びてくるとそれが殺菌作用をしてくれるのです。日本で良くされる銀の詰め物やクラウンはアマルガムではありません。また、アメリカでは日本でされている銀の詰め物はされていません。従って寿命のレポートにも入っていません。 歯の治療の寿命や細かな治療内容についてはいろいろ書けますが、本当に大事なのは予防です。歯を治す際にする事は人工のものでの歯の修復であり、本物の歯と同じではありません。歯を治す技術はとても良くなっていますが、逆にどんな修復も永遠に長持ちはしません。ただ、出来るだけ手入れが良ければそれだけ長く持ちます。従って、本当に毎日良く歯磨きとフロスをし、そして歯医者での定期検診とクリーニングもして下さい。もちろん歯の治療が必要であれば出来るだけの事をします。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。
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