初期の虫歯と歯髄の近くまで進んでしまった虫歯 September 2022　　

虫歯というやつは徐々に大きくなるものです。急にどっと歯に穴があくものではありません。エナメル質内で象牙質が虫歯で大きくやられてしまい、ある日突然このエナメル質の殻が崩れて大きな穴になると言う事はあります。しかし、これも実際は徐々に虫歯に歯が侵されてなったものです。私は初期の初期の虫歯の始まりの状態からとても進行してしまった虫歯までいろいろな虫歯の状態を診ています。それぞれの大きさの虫歯の対応は変わるのですが、今回はその中で初期のものと歯髄の近くまでいっているものに絞ってこれらの虫歯について書かせていただきます。両方ともぎりぎりで虫歯の治療になるか、または根幹治療になるかという状態です。

私はこだわって患者さんの歯のクリーニングを私自身がしています。その中で、とても気になるのが、歯垢をクリーニングで取り除いた時にその下に診えてくる歯の状態です。歯垢がずいぶんついていて、その歯垢を取り除くと歯が変に白くなっている事があります。これはきれいな状態では無く、歯が酸によってもろくなっている状態です。何かしらすべすべしていて透明度があるものに酸性のものを付けるとそこが曇ったように見えます。同じように歯の表面が酸によってダメージをうけるとそこはまず曇った白い色になります。脱灰した状態, つまりカルシウムやリンが歯の表面から溶けだしている状態で、歯の表面は弱くなっています。この白い状態は本当に初期のものであればまだ硬さがあり、歯垢を取り除いた後に患者さんが、毎日良く歯磨きをして歯垢をそこにまた付きっぱなしにしなければ、大丈夫な場合があります。しかし、もしクリーニング後毎日の歯磨きを良くしていなく、同じ箇所に歯垢がまたずっとついてしまうと、そこは虫歯になってしまう可能性がとても高いです。私はこういう個所が6ヵ月後や1年後に患者さんの歯を診た時に穴があいて治さないといけない虫歯になってしまっている事を診ています。従って、そうなってしまわないように、本当に気にして毎日歯の手入れをしてください。

もう一つ、今度はとても虫歯が神経の近くまで進んでしまった時の治療について書きます。だいたいの方はわかっているのか否かと私は思うのですが、実際、虫歯は神経に入ってしまうまでは大部分大した痛みを生じません。エナメル質と象牙質の境目に虫歯が届いた時に少し痛みがある場合はあります。しかし、虫歯は気がつかないうちにとても大きくなる可能性が高いのです。この中で、虫歯が大きく、もう神経に触るか触らないかという地点にいってしまうと、治療は神経をとるか、またはとらないでも大丈夫かという際どい事になります。この場合、根管治療になる可能性はあるという事を考えて、虫歯を取り除く作業をします。虫歯を取り除いた際、神経に非常に近かったり、また神経が少しだけ診えていた場合、そこに特別な薬をつけて詰め物をするという治療法があります。今はMineral Trioxide Aggregateという薬というか物質が使え、これには殺菌作用と共にうまく神経を刺激し神経が象牙質に近いものを薄くですが作るようにする働きがあります。すごいと言えばそうなのですが、ただ絶対そうなるわけではありません。もう虫歯が神経に入ってしまっていて痛みがあったり、神経がとても弱まってしまっている場合はやはり根管治療をする必要性があります。しかし、場合によっては神経をとらないですむわけです。でも、この治療では、治療後にもし痛みが出て来たら、根幹治療をする事になります。この痛みが出て来るのは治療後すぐだったり、5年後ぐらいだったりとなります。もちろん、何も問題が無く大丈夫な可能性はあります。私はもし患者さんの虫歯が大きかったら薬をつけての治療で大丈夫そうであれば、そうして、でも根幹治療になる可能性はある事を患者さんに伝えています。

もちろん、個々の患者さんのケースは違うので、その患者さんにどの治療がベストかを考えてしています。ただ、本当にお伝えしたい事は虫歯がとても大きくなるまで放っておいてほしくないという事です。当たり前ですが、小さいうちに虫歯を治す事はそれだけ自分の歯を残せるし、治療が小さくてすみます。

みなさん、面倒だと考えずに、毎日良く歯磨きとフロスをし（ウオーターピックもお勧めです）、歯医者さんでの定期検診とクリーニングもしてください。そして虫歯は出来てしまったら本当にはやめに治して下さい。定期検診、クリーニング、また治療のためにはお電話下さい。