ゾンビにならないように 　October 2023

もう10年以上前（2012年）の10月にAmerican Dental Associationはビデオゲームの　“プラントvs ゾンビ (Plants vs Zombies)”　の会社と共に　“Stop Zombie Mouth”　つまりゾンビの口になるのを止めようというキャンペーンをアメリカでしました。このゲームはそのころとても流行ったもので、今でも知っている方が多くおられるようです。面白くアニメ化されたゾンビがぞろぞろやってきて、それをやはり面白くアニメ化されたプラント（なぜか植物）たちが倒すというゲームなのですが、もちろんゾンビたちはのろのろとやってきて、しかもだいたいゾンビたちの歯はぼろぼろである程度抜けてしまっているように描かれています。このキャンペーンは10月のハロウィーンをめがけてされたもので、確かにゾンビのような歯の状態にはなりたくないものです。今回はこのキャンペーンにちなんで、ゾンビのようにならないように歯の手入れを良くしましょうというテーマで書きます。一応、ゾンビは架空の怪物であって、実際はそれよりも本当に普通に起こっている事の方が私としては怖いと思います。

まずは虫歯に貢献する糖分について書きます。ハロウィーンの前、と言っても9月から、ハロウィーン用のお菓子はそこら中の店頭に並びます。これ、普通になっていますが、ある日私はCostco内を歩いていて、まあCostcoは何もかも量が多いのは確かですが、ハロウィーン用のお菓子がたくさん、どばーと置かれているのを見てこれやばいじゃんと思いました。実際どのスーパーマーケットでも、また日本食のマーケットでも、ハロウィーンでなくても、たくさん、たくさんお菓子が置かれています。これに洗練された炭水化物もたすとすごい量の糖分が普通に買える事になります。世界的には貧富の差は多きいですが、富がある国では誰もがすごい量の糖分を簡単に手に入れて摂っていると考えられます。欲しがる消費者がいるからこそたくさん店舗に並ぶと言えます。私は糖分には中毒性があるという論文をいくつか読んでみたのですが、結論からしてアルコールやたばこほどでは無いが、明らかに糖分には中毒性があるとされています。悪く言えば、糖分に関しては需要と供給が一緒に暴走しているのです。もちろん、私たちには理性があるので、めちゃくちゃというわけではないですが、糖尿病になる方が多くて当たり前と言えてしまいます。歯に関しては、虫歯にならないように気を付ける事がいろいろあります。お菓子はだらだらと食べないで、また良く歯磨きとフロスをして、歯医者さんでの定期検診とクリーニングもしてください。ハロウィーンとお菓子に関してはニュースレターでだいたい10月に書いているので、宜しければ当医院のホームページ上でお読みください。Zombie Mouthにならないようにしてください。

今度は歯槽膿漏について書きます。一応、基本的にゾンビには思考力が無いといえます。映画やテレビでは話を面白くするために、頭の回転の良いゾンビや速く動けるゾンビなどがでてきますが、普通はゾンビというとのろのろと意味なく歩いていて、ただ人間がいると襲い掛かるというイメージが大きいです。みなさん、歯が無ければ無いほど認知症になる率が高いというデータがある事をご存知かと思います。歯を失くす大きな理由は歯槽膿漏です。アルツハイマー病に関してのデータもいくつかあり、慢性的に10年以上歯槽膿漏になっていた方はアルツハイマー病になるリスクがそうでない方よりも1.7倍あるという研究結果があります。他の研究ではアルツハイマー病の患者さんが亡くなった後の脳内を調べたところ、脳内に歯槽膿漏のバクテリアであるp.gingivalisのDNAがみつかり、また、生きている方でアルツハイマー病になっている方の脳脊髄液（脳と脊髄を保護する膜内の体液）の中にもこのDNAがみつかっています。まだまだ研究が必要なのですが、歯槽膿漏は認知症やアルツハイマー病に関係があると考えられます。歯槽膿漏の予防は基本的に歯と歯茎の間の掃除を良くしてきれいにしておく事です。みなさん、ゾンビのように思考力を衰えなくするためにも、良く歯と歯茎の手入れをしてください。

もちろんゾンビは空想内の怪物ですが、虫歯、歯槽膿漏、そして歯を失くす事は本当におこります。歯医者で治す事ができますが、予防が一番です。認知症やアルツハイマー病は治すと言うよりもできるだけ症状を少なくする、また予防もできるだけするという事が大事です。みなさん、口内の健康は体の健康にとても関係するので、歯を大事にして下さい。毎日の良い歯磨きとフロス、そして歯医者での定期検診とクリーニングをしてください。もちろん、定期検診、クリーニングそして治療のためにはお電話下さい。