破折 September 2025 “破折(はせつ)”とだけ読むと何かが割れる事を表しているようですが、これ調べてみると、歯が割れる事を表していて、つまり歯に関してだけ使われているようです。まあでも“歯の破折”という題よりも“破折”だけの方が映画のかっこいい題みたいで面白いかと思いました。ところで、歯を失う大きな原因の1番は歯周病で2番は虫歯です。そして3番目は破折なのです。詳しく言うと歯根の破折です。もちろん、歯が割れるといってもどれだけ、またどのように割れたかによって、歯を抜くしかないかどうかは変わります。しかし、歯を失くす大きな原因ではあるので、この破折について今回は書きます。 歯が割れるためにはとても大きな力が歯に加わる必要性があります。もちろん事故で歯を折ってしまう事はあります。転んで前歯を折ってしまうという事もあり、これは私は何回か患者さんに起こった事を診ています。また、ボールが歯に当たる事もあります。しかし、事故だけでなく、歯ぎしりや歯の食いしばりをしている方にも診ます。長い間、歯に大きな圧力を加えていて、ある日どこか歯が折れてしまうという事はあります。もちろん、私たちの噛む力はとても大きいので、誰でも長い目で見るといつか歯を割ってしまう事はあり得ます。また、氷を噛み砕いて食べる事が好きな方はこれ本当にしないでいただきたいのですが、歯を割ってしまいがちです。同じに硬い飴を噛み砕くのも良くありません。歯が割れるといっても歯の一部が取れてしまったり、歯の一部がぐらぐらしていればこれはとても分かりやすいのですが、歯にひびが入っているとこれは見えにくいのも確かです。目では見えない、またレントゲンでも見えないという事があります。ただ、噛むといたい、また冷たいものが沁みるという症状が良く起こります。 予防はある程度は出来ます。事故はどうしても起こり得ますが、スポーツをする時にはマウスガードをする事ができます。同じに歯ぎしりや歯の食いしばりは寝ている時に多く起こるので、その時に歯を守るためにナイトガードをする事が出来ます。 最初にちょっと書きましたが、歯根の破折は歯を抜くしかない可能性が高いです。歯根に縦にひびが大きく入ってしまうともう駄目だろうと考えられます。一応、これ水平にひびが入っていると、ケースバイケースですが、歯はまだ抜かないで大丈夫な場合もあります。 また、歯を大きく修復して治してある場合、後に歯根が割れてしまう場合があります。これ困った事に昔日本で良くされていた差し歯で歯根に太い金属の心棒を入れてしまう方法があり、これは良くないのです。ちょっと考えると頑丈なようなのですが、歯根は柔らかく、そこに大きな金属の心棒を入れてその上に歯の形のものを着けてしまうと、歯に力が加わると一番弱いしかも薄くなっている歯根が割れる可能性が高いのです。今は歯根に心棒を入れる必要があれば、この心棒は細くし、しかも少し柔軟性があるファイバーグラスのようなものを使う事が多いです。でも、大きな治療になってしまう前に、虫歯は小さいうちに治し、またその前に出来るだけ虫歯にならないように予防に力を入れる事がやはり歯を長く保つ事に繋がります。 いつも書いていますが、毎日歯磨きとフロスを良くし、歯医者での定期検診とクリーニングもして下さい。 定期検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話下さい。
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