歯槽膿漏はとても怖い!April 2012

私たちの体の一部一部を別の物と考えるのではなく、全体が繋がっていると考える必要性がある事を皆さんもわかっていると思います。そして歯槽膿漏が体の他の病気とずいぶん繋がっている事を知っている方も多いと思います。統計的には歯槽膿漏にかかっている人はそうで無い人よりも冠状動脈疾患(心臓病)になる可能性が2倍あると知られています。また、歯槽膿漏が悪化していればいるほど糖尿病になりやすい事もわかっています。そしてなぜそんなに関連性があるのかもずいぶん解明されています。今回は私達の健康にとても大事な事なので歯槽膿漏と他の病気の関係について書かせていただきます。

歯槽膿漏は簡単に言えば歯と歯茎の間にバイ菌が住みついてしまい、そこが感染し炎症を起こしてしまう病気です。特別な状態以外にはだいたい痛みは無く、そのため慢性化している事が多く、症状とすれば歯茎から良く血が出る、歯茎が腫れて赤くなっている、また口臭があるという所です。長い間放っておけば歯と歯茎、また歯と骨の繋がりが無くなってしまい、歯が抜けてしまう病気でもあります。

体全体との関係は歯槽膿漏での感染と炎症が慢性化して続く事にあります。体のどこでも炎症を起こしていると炎症の一部としてインスリンの働きを阻害する物質を体が分泌します。つまり歯槽膿漏による歯茎の炎症は血管を通して体全体にインスリンの効果を無くす物質を送るのです。インスリンは血糖値を調整しているので、歯槽膿漏がひどければひどいほど糖尿病になりやすいわけです。

そして歯槽膿漏による炎症との繋がりがある疾患がもうひとつあります。粥状性動脈硬化(atherosclerosis)というものでこれはつまり血管の動脈の壁がコレステロールの沈着やこの壁自身の増殖により肥厚した状態の事で狭心症や脳卒中の原因になるものです。そしてこの動脈硬化はまず動脈の壁が炎症を起こして始まります。従って歯槽膿漏で歯茎がいつも炎症を起こしていると、いろいろな炎症物質が体中に血管を通して回ってしまい、この事が動脈の壁を炎症しやすくしてしまい、それが最終的に狭心症や脳卒中にまでいたってしまうわけです。

しかもそれだけでは無く、いつも歯茎が感染しているとこの歯茎を侵しているバイ菌と口内にいるいろいろなバイ菌がやはり歯茎から血管を通して体中に回ってしまいます。この中で口内にとてもよく診られるひと種類のバイ菌は血管の壁の細胞を破壊する事がつい最近発見されました。つまり歯槽膿漏に侵されていると炎症物質だけでなくバイ菌も血管を通して体中に回っていき、いろいろなバイ菌が今度は血管内にとどまらず体中の臓器まで到達してしまう可能性がある事がわかったのです。

従って歯槽膿漏が体に与える負担はとても大きいのです。ただいっぺんに体が崩れるのでは無く、少しずつ慢性化した歯槽膿漏が体全体に悪影響を与えていくので、体調がとても悪くなるまでは何も気づかないでいてしまうわけです。ですから、問題が発覚する前に歯槽膿漏を治療し歯槽膿漏になるのを予防する事はとても大事です。

歯槽膿漏の治療は原則的にはっきりしていて、歯と歯茎の間に住みついてしまっているバイ菌を取り除く事にあります。従って、歯槽膿漏がある程度悪化している場合、歯医者で麻酔をして歯茎の奥まで物理的にクリーニングをする必要性がありますし、また定期的にも歯医者で歯と歯茎の間のクリーニングをする事が大事なのです。前にも馬場歯科便りに書きましたが毎日の歯磨きとフロスもとても大事でこの毎日の手入れの一番の理由は歯垢(バイ菌)を取り除く事にあります。やはり前に書きましたが、きれいに掃除をした後、歯に歯垢がじょじょについて歯槽膿漏のバイ菌が歯と歯茎の間の歯垢内の主なバイ菌になるまでには長くて3ヶ月かかります。(ホームページ内の歯垢を除去する事の重要性 June 2011の記事を参照してください。)従って、歯槽膿漏にかかってしまった場合、まずは歯医者での歯茎深くまでの掃除をし、その後は歯医者で3ヶ月に一度かもっとひんぱんにクリーニングをする事をおすすめします。そして、歯槽膿漏が無い方も予防のため毎日歯磨きとフロスをし、そして定期的に歯医者でのクリーニングと検診を6ヶ月に一度はして下さい。

体が崩れてしまうとそれまで普通に出来ていたいろいろな事が出来なくなってしまいます。ですから、皆さん健康に気を使って下さい。もちろん歯槽膿漏の予防と治療のため、また他の歯の問題の解決のためにはご連絡下さい。

 

 

 

 

 
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