バイオフィルム March 2013

 前に何回かバイオフィルムと言う言葉をニュースレターで使っています。バイオフィルムとは簡単には微生物が形成する構造体、つまりいろいろな微生物が作り上げる住家と言えます。日本語では菌幕と言い、私たちにはぬるぬるした幕に見えます。バイオフィルムはいろいろな所に存在していて、台所、トイレ、シャワーなどでぬるぬるしている所、また、川の水中内の石についているぬるぬるした物などはバイオフィルムです。実際私たちはバクテリアと共存していて、私たちの体内にもたくさんのバクテリアが住んでいる事もお解かりかと思います。特に口内では歯に歯垢としてバイオフィルムがいつも付いていくものなので、今回はバイオフィルムについて少し詳しく書かせていただきます。

口内には現在知られている限りだいたい700ぐらいの種類のバクテリアが住んでいます。もちろんこの中の全部の種類のバクテリアが虫歯や歯槽膿漏の素になるのでは無く、中のいくつかのバイキンが体に害を与える事が解っています。体に害を与えるバイキンを嫌気性菌、害を与えないものを好気性菌と言います。前に書きましたが、歯を完全にきれいにした後、すぐにバクテリアは歯の表面にくっ付いていきます。この時、特別なねばねばした物質のExtracellular polysacharide(ECP)と言うものを作りそれが歯にくっ付き、その中にバクテリアが住み,つまりこのねばねばしたECPが住居でその中にバクテリアがいてそれがバイオフィルムなわけです。歯の表面にまずくっ付く事の出来るバクテリアは決まっていて、つまりある種のバクテリア達だけがまず歯の表面に付きます。そしてこの最初のバクテリアは歯に害をあたえるものではありません。しかしある程度この最初のバクテリアがバイオフィルムを作るとその中に他の種類のバクテリアが入っていき住み着きます。つまり一種類のバクテリアがバイオフィルムの中にいるのでは無く、いろいろな種類のバクテリアがバイオフィルムの中に住んでいて、しかもどのバクテリアがいつバイオフィルムの中に入り込んでいくということは実際決まっているのです。そしてバイオフィルムの中では同じ種類としかも違う種類のバクテリア達が特別な情報伝達物質というものをつくりコミュニケーションをとっています。最初のバクテリア達は好気性菌なのですが、その後わりとすぐに虫歯の素になるバイキンがバイオフィルムの中に入っていきます。前にも書きましたが、歯槽膿漏の素のバクテリアはある程度バイオフィルムが出来上がった後に中に入っていきます。なぜかというと歯槽膿漏の素のバイキンは酸素に弱く、つまりバイオフィルムがある程度出来上がっていれば、中の方で酸素から身を守れるからです。従って、完全に歯をきれいにすると、最初にある種のバクテリア達が歯の表面にくっ付き、そこからじょじょに順序だてて他の種類のバクテリア達がバイオフィルム内にたされていき、つまりバイオフィルムは時間と共に変化していくのです。もちろんバクテリアはどんどん繁殖する微生物でもあり、歯垢の中のバクテリアの数は1立方mm内に20億から30億いるとされていて、半端な数ではありません。

この中で、きれいな歯の上にバイオフィルムが出来上がりある程度構成されるまでは24時間かかると考えられています。バイオフィルムはじょじょに構成され変化していくのですが、良いところまで出来上がるとその一部が分離し他の歯の表面にバイキンを移すという事をします。そこまでバイオフィルムが出来上がるまではだいたい24時間なわけですが、なんだ24時間あるなら1日に一回歯を磨くので良いではないかとは思わないで下さい。この24時間というのはバイオフィルムの構造がずいぶん出来上がってしまった時点です。歯を磨く事の一番の理由がこのバイオフィルムを取り除く事です。そしてバイオフィルムがすごく出来上がってしまう前に歯を磨けばそこからまた一からバイオフィルムが歯の表面に作り出されるわけですので、1日に歯を磨く回数が多ければそれだけ虫歯や歯槽膿漏になりずらいわけです。従って、なぜ一日に2回は磨いて下さいとお勧めしているかと言うのは、このバイオフィルムの構成の過程に関係しています。24時間たつ前に2回はバイオフィルムが取り除かれている状態はバクテリアにとっては完全に歯の表面に納まってしまう事を難しくしているのです。もちろん一日に1回はフロスをして下さいという事もこの24時間に関係しています。そしてもちろん一日1回だけで無くもっとフロスをしていただければもっと良いです。ただ困った事に誰もがいつも良く歯を磨き、フロスをしているかと考えると、これはちょっと疑問になってしまいます。どこでもバイオフィルムが残ってしまえばそこではバクテリアが繁殖しバイオフィルムは大きくなってしまいます。この事を考え、本当に良く歯を磨き、フロスをして下さい。

前に書きましたが、歯槽膿漏のバイキンがバイオフィルム内に入り納まるまでだいたい3ヶ月かかります。これが、もし歯槽膿漏になってしまった事がある方であれば歯医者さんで3ヶ月に一度はクリーニングをして下さいという大きな理由です。もちろん歯医者でのクリーニングでは歯ブラシやフロス以上にきれいに掃除が出来るので、誰でも6ヶ月に一度は歯医者でのクリーニングをお勧めします。ただ気をつけて下さい。歯医者さんでのクリーニングと言っても変に値段が安いところに行ってしまうとそれなりに不完全なクリーニングになってしまう可能性があります。

もちろん食生活はこのバイオフィルム内でどのバクテリアが繁殖するかに関係します。 糖分そして分解されやすい精練された炭水化物は、虫歯のバイキンにはとても良い餌で、それにともないバイオフィルム内に虫歯になりやすくする嫌気性菌を多くします。

またこれも前に書きましたが、口内にいるバクテリアの種類を変えるための口内用プロバイティックスも私はお勧めです。(ホームページ内の口内用プロバイティックス May 2010>をご覧下さい。)

クリーニング、また検診、そして歯と歯茎の治療のためにはお電話ください。

 

 

 

 

 
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