歯を磨く理由   September 2014

今回でこのニュースレターは100通目になります。一通にいくつかの記事が載っている事もあるので、記事はもっとありますが、本当に郵送したものは今回で100です。記念するべきなのかは解りませんが、今回は初心に戻る、基礎を大事にするという考えに基づき、歯を磨く理由について書かせて頂きます。

前に何回か歯磨きをする理由を書いています。歯を磨く一番の理由はバイ菌、つまり歯垢、つまりバイオフィルムを歯の表面から取り除く事です。このバイオフィルムについては、ホームページ上の バイオフィルム March 2013 を是非お読み下さい。いつも口をすっぱくして一日に二回朝晩と歯を磨いて下さいと言っている事には根拠があります。口内には必ずバイ菌が居るのですが、唾液の中に浮いている状態では歯と歯茎に害はありません。しかしこのバイ菌たちは歯磨き、またプロのクリーニングの後、すぐに歯の表面にくっ付いていきます。一時間以内にはずいぶん歯の表面に付着しています。実際はいろいろな種類のバイ菌たちが歯の表面にいっしょにねばねばしたものの中に町に住んでいるように暮らします。この町の中でバイ菌たちはコミュニケーションをとりあい、うまく生きていけるように自らを変化させ、しかもバイ菌たちの種類も他のバイ菌と共存、またはある部分は乗っ取ると言うようにドラマのような事をしています。もちろん、この町が出来あがってきている途中で歯を良く磨き、この町を歯の表面から取り除いてしまえば、最初から町をつくらないといけなくなります。毎日2回朝晩歯を磨く理由はこのバイオフィルムの町の破壊なのです。とても有効な方法です。ただ、本当に歯を良く磨かない限り町のどこかが歯の表面に残ってしまい、その箇所のバイ菌たちにとってはうれしい状態になってしまいます。そこで、磨く際には必ず歯の表面を全部出来るだけ良く磨いて頂きたいのです。

また、今でもちょっと古い歯磨きの仕方の記事には食後にすぐに歯を磨くようにと書いてある事があり、患者さんにも食後に歯を磨いていると言われる事があります。しかし、こうする事はお勧めしません。歯を磨く一番の理由は食物を歯の表面から取り除く事ではありません。実際は食事をする前に歯を磨いたほうがとても有効的です。そうすれば、バイオフィルム、つまりバイ菌が歯の表面に少なく、すなわち食事を餌にして虫歯菌が酸を作るという事が起こり得ません。歯は酸によって少し溶け、そして中和すると溶けだした分子が歯の表面にまた戻るという事を前にも書いています。食事の際、とても酸性のものを口に入れる事、また虫歯菌が歯の表面にたくさん付いている中で糖分、炭水化物を口に入れ、バイ菌が酸をつくるという事をしてしまうと、この酸が歯を溶かします。ただ、食後20分ぐらいで口内は中和され、その際溶け出したものがもとに戻ります。しかし、溶け出した量の方がもとにもどる量よりも多ければ微量ですが歯は溶けたままになってしまいます。歯が溶け出した量の方が多い事が何回も重なるとある地点で虫歯の穴になってしまいます。口内が酸性になった場合、すぐに歯を磨いてしまうと歯から溶け出した分子をわざわざ取り除いてしまう事になります。しかも溶けて弱まっている時に歯の表面を削る事になります。溶けるといってもミクロの世界の事なので、目では見えません。しかし、従って、今は食後30分から1時間は歯を磨かない様にという事が普通お勧めです。もちろん、何も酸性のものを口に入れなければ、また糖分をたくさん食べても歯の表面に虫歯菌がいなければ酸はできないので、この場合にはすぐに歯を磨いてかまいません。私自身は食後はフロスと水で濯ぐのみをしています。しかし食後にどうも気持として歯を磨きたいというかたは30分から1時間待つという事を考えてして下さい。ただ、なぜ歯を磨くのかを考えると食後が大事なのではありません。もちろん、バイオフィルム、つまりバイ菌の町を除去する事を一日2回だけでなくもっとひんぱんにすればそれだけ虫歯の予防になる事も確かです。何よりも基本として朝晩は必ず磨いて下さい。

歯医者でのクリーニングも大事ですので、是非して下さい。バイオフィルム March 2013 の記事でも書いていますが、歯槽膿漏になってしまった方は3ヶ月ごとにはプロのクリーニングをする事をお勧めします。そうでない方は6ヶ月ごとには歯医者でのクリーニングをお勧めします。診察、クリーニング、治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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