恐怖の細菌   August 2015

真夏の暑い中、皆さんどうお過ごしでしょうか? 日本では夏には涼しくするために怖い話をするという風習があります。そこで、今回は骨の筋まで涼しくなる怖い話をします。 …と言う事はしませんが、もしミクロの世界を観る事が出来たら、これは実際に怖い細菌の事を書きます。

歯槽膿漏にはいろいろなバイ菌がかかわっていますが、中でも大きく原因になっているバイ菌でPorphyromonas Gingivalisというものがいます。このバイ菌は歯と歯茎の間に住みこむとする事がいくつかあります。ひとつは私たちの体が炎症して対抗しようとして作る物質の一部を自分の栄養素にしてしまいます。そして次には私たちの歯茎の細胞に細かい線維達でへばりつき、この細胞の中に入り、この細胞を占領します。この際、怖い事に普通はこの細胞は死ぬはずなのですが、わざと生かしておきます。そしてこの生きた細胞の中で繁殖します。しかも、このバイ菌は私たちの体の炎症内でバイ菌に害を与えるために作るものは化学的に減らします。でも、炎症を完全に抑える事はしません。こうする事によって、他の歯槽膿漏にするバイ菌たちがもっとこの歯と歯茎の間に入ってきて住めるようにします。そして、これだけでなく、今度は血流を通してこの乗っ取られた細胞は体全体に回っていきます。そして私たちの体内の他の細胞を同じように侵していきます。従って、この細菌は体のいろいろな箇所で見つかっています。動脈硬化している血管内にも当然見つかっていて、血管内のそして心臓の病に繋がっています。つまり、この細菌は私たちの体内で体が退治しようとしても、その作業を自分に良いように使い、そして私たちの細胞にくっつき、殺さないでゾンビのようにして、内部に住みつき、中で繁殖し、そして体の他の部分に血流を通して回っていくのです。ミクロの世界をもし目で見えるのであれば、これは、恐怖映画を観ているようなものです。もうひとつ言えるのが、この細菌は口臭の素になる細菌でもあります。

これらの事はこの5年ぐらいの間に詳しく解ってきていて、これからももっと解ってくる事があると思います。そして、もうひとつ解っている事があります。このPorphyromonas Gingivalisは酸素があると生きていけません。歯の表面にバイ菌が住みつくには、まず酸素がある所で住むバイ菌がバイオフィルムを作り歯に付着し、そしてこのバイオフィルムが大きくなり、歯と歯茎の中に入っていくと、中の方は酸素が無いので、そこに住みつき繁殖します。何回か前にバイオフィルムが虫歯と歯槽膿漏の原因だと書いていますが、つまり、ミクロの世界ではバイ菌たちが、粘々したものを作りそれが歯にくっつきこの中に住み、そしてこの粘々したバイオフィルムの町を作るのです。昔、私は日本に住んでいたころ、1960年代、家の前が坂道で、この道の端にどぶがありました。坂道なので、このどぶの中に下に向かって水が流れていて、なぜかこの坂道の途中に地下に繋がる穴があり、そこに網のようなものがあり水が流れこんでいました。危ないと言えばそうだったのかも知れませんが、このどぶの触れないところには変なぬるぬるしたように見えるものがついていました。もちろんアメリカでも下水道のところは変なぬるぬるした物がついています。このぬるぬるしたものは実はバイオフィルムなのです。色々な微生物によって造られていて、もちろん口内のものとは微生物は違いますが、つまり水が流れていても、硬い表面があればそこに付着しその中に外とは違う環境を作り住むのです。口内も同じで、歯の表面にはいつもくっついていき、物理的にとらないと増えていきます。そして一番繁殖するのが、唾液の分泌が無くなる寝ている時です。これが夜寝る前と朝起きた時に必ず歯を磨いて下さいという事の理由です。歯を磨く一番の理由はバイキンを歯の表面から取り除く事です。そして、歯医者さんでのクリーニングも普通は6ヶ月ごとをお勧めしますが、一度歯槽膿漏になってしまった人はそれを治した後3ヶ月ごとには歯医者さんでクリーニングをする事をお勧めします。これは歯の表面を綺麗に掃除した後、バイオフィルムが大きくなっていき、そこに酸素を必要としないバイ菌がその中で繁殖するまではだいたい3ヶ月かかるからです。もちろん、歯槽膿漏がある場合は歯と歯茎の間のバイオフィルムと侵された細胞を取り除く必要性があり、そのためには局部麻酔をしてとても奥までまんべんなく掃除をします。これらの事については以前にも書いていますが、とても大事な事です。

従って、怖い細菌に侵されないように、皆さん歯を朝晩と良く磨いて、そしてフロスもして下さい。歯の磨き方は私のホームページに載っていますからぜひ観てください(歯磨きの基礎 January 2009)。私自身がしている事も載っているので是非参考にして下さい(私自身の毎日の歯の手入れ October 2011)。もちろん、歯医者でのクリーニング、検診、そして治療も大事ですので、そのためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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