セメント質と歯根膜 March 2023  

FDI World Dental Federation(元はFederation Dentaire Internationale)という100年以上続いている世界的な歯科の組織があり、このグループは3月20日をWorld Oral Health Dayとしていて、Oral、つまり口内、の健康の日にしています。歯の大事さ、歯磨き、フロスと歯の手入れの大切さを学び、考える日と世界共通の日にしています。だからなんだというところもありますが、歯と歯茎の健康はとても大事なので、3月にはこの “世界的な” 日があると頭の隅にいれてしまって、そうだ歯を大切にしようと思ってしまってください。ところで、今回はセメント質と歯根膜について書きます。なんだそれはと思うかもしれませんが、歯の周りの構造のとても大事な部分なので、よろしければお読みください。

私たちの歯には、エナメル質という硬い層が周りにあり、その中に象牙質、そしてその中に歯髄があります。ただ、歯根の周りにはエナメル質はありません。歯根は大部分、象牙質とその中の歯髄で出来ているのですが、実際はここの象牙質はセメント質という薄い層で覆われています。このセメント質は厚いところでも0.2mm、そして薄いところでは0.03mmの厚さです。実際は象牙質にとても似ているのですが、象牙質よりも柔らかい層です。このセメント質からはたくさんコラーゲンで出来ている繊維が直角に飛びだしていて、この繊維が歯槽骨に繋がっています。この繊維の部分を歯根膜と呼び、この箇所の厚さは0.15mmから0.2mmぐらいあります。従って、歯根は直接に歯槽骨に繋がっているのではなく、セメント質に繋がった歯根膜によって繋がっているのです。この歯垢幕は噛んで歯に圧力を加えた際にショックアブゾーバーになってくれています。そして、歯と歯が噛み合えるように歯の位置の調整を体が出来るようにしています。また、虫歯や歯槽膿漏がとても進んでしまった時、体をこのばい菌から守るために歯をぐらぐらさせて抜けてしまうようにします。つまり、このセメント質と歯根膜は歯根と歯槽骨の間にある事でとても優れた働きをしているのです。また、セメント質には少しですが、自らセメント質を作る能力があります。

歯の見えている部分のエナメル質と歯根を覆うセメント質には境目があり、この部分をエナメル-セメント境と呼びます。この箇所ではきれいに境目の線があるように思われがちなのですが、実際は30%ぐらいがきれいな線で、60%ぐらいはセメント質が少しエナメル質を覆っています。他の10%ぐらいには象牙質だけしかなく、全体的になめらかな境目ではありません。従って、歯垢は付きやすく、また象牙質もセメント質も柔らかいので、歯茎が下がってこの箇所が見えてきてしまうと、とても虫歯になりやすいのです。実際は歳をとってくると歯茎は下がっていく事は起こり得ますし、もちろん歯垢がいつもついていると歯茎はもっと下がり得ます。また、虫歯ではなくても、このエナメル質と歯根の間は削れてしまって溝ができる事が多く、この事については前に書いているので、よろしければ、ホームページ上で、くさび状欠損 March 2008の記事をお読みください。エナメル-セメント境は簡単に穴や溝が出来やすいという弱点を持っています。

いつも歯磨きとフロスを毎日良くして下さいと書いていますが、歯垢がエナメル質とセメント質の間にたまらないように歯と歯茎の境目のところも歯茎に対して45 °の角度でこちょこちょっという感じに全部磨いてください。解りずらいかもしれないのですが、強くごしごしではなく、軽くです。歯医者での定期検診とクリーニングもしてください。そのため、また治療のためにはお電話下さい。    

 

 

 

 
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