小さい子に虫歯菌をうつさない   August 2014

虫歯の予防についていろいろこのニュースレターで書いていますが、最初、つまり小さい子供の時の予防が実際は一番の予防です。虫歯のバイ菌は生まれた時には口内にいないのですが、その後子供の時に感染して口内に住みつきます。誰からでも感染し得るのですが、もちろん一番赤ちゃんにバイ菌をうつす可能性があるのはお母さんです。口内にバイ菌は必ず住みつくのですが、虫歯の原因になるバイ菌とそうでないバイ菌といろいろいるバイ菌たちが一度ある割合で口内に住みつくと一生その割合で住みつきます。従って、虫歯にとてもなりやすい人と歯を全然磨かないのに虫歯にならない人が存在してくるのです。とても大事な事なので、今回はこの最初の虫歯菌への感染について書きます。

スウェーデンで1984年に始められたある研究を紹介します。虫歯菌がたくさん口内にいて虫歯が多い77人のお母さんでみな始めての赤ちゃんがいてその子たちの年齢が3ー8ヶ月までの方を選びました。このお母さんたちの半分には毎日の歯磨きとフロスの指導、また定期的なクリーニング、そして虫歯を治すという事をし、歯の手入れをとても良くしました。そして半分のお母さんたちには何も特別にしませんでした。このお母さんたちの口内にいる虫歯菌のミュータンス菌の量を定期的に測り、歯の手入れを良くしているお母さんたちの口内の虫歯菌の量は以前の10分の1の量まで下げる事が出来ました。この半分のお母さんの口内の手入れのプログラムは子供が3-4歳ぐらいまで続けました。そして、この2グループのお母さんたちの子供たちの口内にミュータンス菌がどれだけいて、どれだけ虫歯になっているかを3歳、7歳、11歳、19歳と長い期間をかけてチェックしたのです。すると、3歳の時、子供たちのミュータンス菌の量、そして虫歯の数はお母さんの口内の手入れをしていたグループはそうでないグループの3分の1ほどだったのです。そこからも7,11,19歳とすべての歳でお母さんが口内を手入れをしていたグループの方がそうでないほうよりも子供たちの虫歯の量はずっと少なかったのです。

そして、この虫歯菌は子供が何歳の時に一番口内にうつりやすいかも解っています。"感染の窓"と呼ばれている時期があり、子供が19ヶ月から31ヶ月、つまり1歳7ヶ月から2歳7ヶ月あたりが一番虫歯菌に感染しやすい時なのです。統計のデータから解っているのですが、もちろんこの時期の前にも後にも感染はしないわけではありません。虫歯菌は何か硬いものの表面にねばねばした物でくっつき、住み着くという事で歯が新しく出てきた時からは要注意なわけです。しかし、舌にも虫歯菌はくっつく事が出来るので、歯がないから大丈夫とは思わないで下さい。

もちろん、誰かの唾液が子供の口内に入って感染するわけですから、出来るだけこれが起こらないようにするべきです。つまり、口移しで食べ物を赤ちゃんにあげる、自分の口に入れた箸やスプーンを赤ちゃんの口にいれるなどという事は避けてください。しかし赤ちゃんはお母さん(お父さん)の口の中に指を入れてくるし、アメリカ的にはキスは普通ですし、熱い食べ物や飲み物を息をかけてさましてから赤ちゃんにあげることもついしてしまうかもしれないです。しかも話しているだけでも唾液が子供の口内に入る可能性があります。それに子育ては簡単な仕事ではないですから、自分の唾液が子供の口内に入らないようにするという事は実際はある程度までするという事が現実的ではあります。でも、出来るだけ注意して下さい。

また、お母さん(と言ってもお父さん、また子供の周りの誰でもなのですが)の口内の虫歯菌の量が少なければ少ないほど良いわけなので、結婚する前から、また子供をつくる前から虫歯を治し、定期的に歯医者でのクリーニングをし、毎日良く歯磨きとフロスをしていただけると、未来の自分の子供の口内の虫歯の量を減らすことになります。

もうひとつ出来る事がキシリトールガムの摂取です。キシリトールにはミュータンス菌を失くす効果がある事を前にも何回か書いています。詳しくは キシリトール September 2009キシリトールは優れ物 July 2011 を当医院のホームページでお読み下さい。また、是非 歯磨きの基礎 January 2009 もお読み下さい。プロバイオティックスという手もあるので 口内用プロバイオティックス May 2010 もお勧めします。皆、お母さんの口内を良くし、その事によって子供を助けます。

口内の虫歯菌の量は人によってゼロからたくさんまでいろいろです。ゼロに近ければ虫歯にそれだけなりにくいのです。しかし、虫歯菌が多い方でも歯の手入れを良くしていれば、それだけ虫歯にはなりません。また、虫歯菌が少なくても歯の手入れや食生活が悪ければやはり虫歯が出来てしまいます。ですから誰もに毎日の歯磨き、フロス、そして歯医者での定期検診、クリーニングをお勧めします。もちろん、検診、クリーニング、また治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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